第11話 綿飴の終焉
肉欲のキスじゃないよ
心からのキスだよ
なんでこの人は
当たり前のことを
こんな風に
言うんだろう?
不思議な気持ちで聞きながら
あなたがささやく甘い綿飴
うっとりふわふわ
私は食べた
だけど私ね
もうね
それが
少しばかりの
ありふれたザラメから作れること
知っている
日々のご飯とは別に
くるくる回して
生まれた霞
見栄え良く巻き取って絡める
これにはコツがいる
あなたの
特技なのね
綿飴は
綺麗で
美味しくて
クセになるけど
お祭りの夜が明けて
朝には
袋の中でしぼんで
ガリガリ
みすぼらしいこと
ベタベタ
不快でしかないこと
知っている
だから私ね
もうね
あなたがくれる
甘いもの
いらない
甘いものでいるのも
やめた
雨を降らして
綿飴は消える時間
洗い流して
消えてしまえ
綿飴の終焉は私の手で
薄荷の滴 蜂蜜ひみつ @ayaaki
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