概要
言葉が残ればいい、と苓濘は言った。
〝蜂櫛(ほうしつ)〟と呼ばれる街に住む苳河(とうか)と苓濘(れいねい)は、過去の遺物──〈史骸(しがい)〉を収集し塔で管理する〈記述師〉として日々を送っている。ふたりは「チャンスは残り3回です」と告げる記録に触れ、〝チャンス〟の意味を訊ねた苳河に苓濘は「天命のこと」と説明をする。苓濘は異郷の血を引いており、街の人々からは希望の象徴として扱われていた。苓濘は自ら翻訳した故郷の歌を好んでおり、密かに苳河と共有しながら、〈記述師〉は間を繋ぐ巫女(オラクル)のようだと語る。ふたりは天命は一度きりで良いと語り合うが、苓濘は突然姿を消してしまう。
大人になり、筆頭〈記述師〉となった苳河は、「言葉だけが残ればいい」という苓濘の言葉を思いながら、ふたりで過ごした日々をなぞるように鬱々と生活を送っていた。そ
大人になり、筆頭〈記述師〉となった苳河は、「言葉だけが残ればいい」という苓濘の言葉を思いながら、ふたりで過ごした日々をなぞるように鬱々と生活を送っていた。そ
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