隣の空き部屋 7(最終話)
と、書こうと思っていた矢先。この話を下書きをして、公開直前のある夜。七年ぶり二回目の金縛りに遭いました。こんな話をしていたからでしょうか。寝ようと思い、布団に入って微睡んでいた時でした。妙に意識はハッキリしているのに、体が動きません。目も開きません。声も出ません。畳を這う音はしませんでしたが、トイレの水が流れるような音がしました。不思議な感覚で、寝ているはずの自分が、トイレのドアの前に立っているような感覚がありました。
「クソッ! また来たか!」
そう心の中で怒鳴ってから、不動明王の真言を唱えました。二度、三度と唱えると、何でしょう、世界が揺れるというか、眩暈のような感覚があり、布団の感覚が戻りました。微かに指先・足先も動かせました。それから絞り出すような声で「あ~!」っと叫んで。いや、叫んだつもりですが、ほとんど声になりません。もう一度、心の中で「出て行け! 二度と来るな!」と叫ぶと、急に体が動くようになりました。飛び起きて電気を点け、その日も明りを点けたまま寝ました。今日も明りを点けっ放しで寝るか、暗闇の中で寝るかは、まだ決めていません。
お婆ちゃん。何か言いたい事があっても、会った事もないし話は通じません。部屋に勝手に入って来られるのは迷惑です。もう来るんじゃないぞ!
【朗読あり】隣の空き部屋 武藤勇城 @k-d-k-w-yoro
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