めちゃめちゃ厳しい人たちが不意に見せた


 高校時代の鬼教師が死んだ。
 どうやら生徒に刺されたらしい。体罰も辞さない人だったから、その恨みによるものだとワイドショーは取り上げる。
 そんな世間の動きとは別に、男は鬼教師との思い出を振り返る……


 自分が勤めていたバイト先のオーナーが似たような方だったので、共感を持ちながら読み進めていました。

 ニュースに取り上げられる「誰か」にしても、実際はカメラには映らない多くの側面を持っていて、自分や世間が見ている部分だけがすべてではないわけです。
 今まで知らなかったあの人の側面が見えた。静かな文体の中に、その時の感動が込められているように感じました。