外殻に灯をともす。ライターの音はやまぬ。

とにかく写実的。
行きつく間もない描写描写描写、描写。

戦闘すら端折る作品が多い昨今、異質を通り越し、異物となるレベルの怪作。
街の景観、主人公の抱いた心情、表情のうつろい。果ては声の色、しぐさの行方まで書く。もはや写真を見ているのでは。そう疑いたくなる物量作戦である。

一方、主人公らの思いのたけや、彼らの容姿についてはかなり限定的。しかしこれがミソだ。周りを、その雰囲気に至るまで書き記せば、おのずとキャラも創られていく。

空間を書く。彼らの背負う外殻に、油を浸して灯をともす。そんな作品。