※読み合い企画からのレビューです
ひょんなことからスクールカーストの最上位から転げ落ち、いじめられるまでになったヒロイン・京華が興味を抱いたのは、クラスにいてもいなくても変わらないような無口な主人公・誠人だった──という導入の本作品
ぼっちと嫌われ者の二人で始まるこの物語の第一章は、誠人の幼馴染みと三人で組んだバンドが学園祭で演奏するまでを描いている
本作品のヒロインは、非常に珍しい
何故なら、物語冒頭の京華の態度は、カースト最底辺まで落ちても仕方がないと思えるほどに傲慢で、自分勝手で、わがままだからだ
凡百の小説であれば悪役のまま終わるか、良くても改心が描かれる程度だが、本作品では見事にヒロインを務めている
それも、自分勝手でわがままなところはある程度そのままに、にも関わらず可愛らしく思えるように書かれているのだから、作者の腕の非凡さが窺えるだろう
その文章力の高さが如実に表れるのは、クライマックスの演奏シーンだ
当然だが、小説を読んでも音は聞こえない
小説にとって演奏シーンは鬼門であるはずなのに、まるで読者自身がギターを掻き鳴らしているような、ギャリギャリと指に響く弦の感触が伝わるような、圧倒的なリアリティが目から脳にぶち込まれる
こんなシーンをカクヨムで読まされるとは思ってもいなかったので、まさに圧巻だった
是非、彼らの等身大の青春を楽しんでみてほしい
時間の無駄には決してならないはずだ
猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ……。
沙羅双樹の鐘の音が聞こえてきそうです。
高圧的で鼻持ちならない女王様ですが、持ち上げた周囲にも責任はあります。
もちろん女王様の自業自得も過分ですが、周囲の手のひら返しも陰湿で、女王様を嫌いになったり同情したりと感情を揺さぶられます。
周囲や感情が目まぐるしく変化する中、一人静かに川辺に佇立する主人公が好印象です。
川を溺れながら流される女王様が、そんな主人公を掴んだとするのは自然な流れであったと思います。
そして、この事が主人公にもどのような影響を与えるのかとても楽しみになる作品でした。
追伸
★99の作品に★をポチポチポチと3連打するの、すごく緊張しました……!(驚
★0の作品に、恐れ多くも初めて星をお送りする以上の汗の書き方でした(汗汗
つっけんどん。クラスの中でぽつんト一人、どこか三人称視点のように教室を俯瞰してしまう主人公。
00,10年代がにほふ高2病の中で、確かに渦巻くのは他人への警戒心。少し早熟な知性も相まって、自尊心と捨てきれないお人よしが、嫌みのない、いうなれば心地よい痛さとなって、読み手の親心をくすぐってきます。
そんな主人公を振り回すのが、クラスで嫌われた美少女。転落した女王というように、彼女もまた高慢さと、それにつりあった容姿を持ち、周りとの壁に苦しんでいます。
固く、強く、されど繊細。ほころびそうな棘を持った二人が、バンドを通じて少しずつ融かされていきます。解けていきます。そんなお話です。