目を引く壮大な世界観。読んでいてわかる。かなり作りこまれている。
だが恐ろしいことに本作のキャラ、アッシュたちは、ギャグやふざけた行動で、それらを頭からへし折るように暴れまわるのだ。土足でそこらじゅうをホッツキ回るのだ。
何という贅沢か。
だれか止めないのか。止めない。面白いから。
何か止められないのか。止めれるわけがない。主犯 作者なんだから。
作品としてはオヤジの借金に振り回され、癖の強いやつらに振り回されながら、一攫千金を夢見るアッシュの奮闘である。
感嘆すべきはそのベクトルにある。喜怒哀楽の楽。全振りである。これが難しい。家族の蒸発、貧困、他種族の跋扈。ここまで並べられた悲惨を、コメディにするのは中々勇気がいる。技量もいる。
芸術の持つ爆発。破壊の美しさ。これらがあふれた作品だと思う。
是非笑ってください。それが一番だと思います。
クズ屋。
それは四十年前に捨てられた地上の廃都市<下界(ニース)>から、危険を顧りみず価値あるクズを拾う者。
新人クズ屋のアッシュは、なんとライセンスをとったその日、ろくでなしパパ・ジルの借金1億コインを背負ってしまう!
おまけにその借金の要因である孤児院<ブルーオーシャン>の子どもたちの面倒まで!
愛用の武器まで奪われ、ありとあらゆるものを押し付けられたアッシュ。しかしアッシュは寝込まず前に進む!
「仲間だから! 全部半分こがいい。半分こにしたいのだ」
難しいことはわからないけど、大切なことを理解しているアッシュ。その相棒のノア。
下界では自己責任。
先に拾ったものが所有権を得ることができる。
そんな過酷な世界でも、――そして色々背負うものが増えても、アッシュはめげずに自分の信じた道を行く。
はたして、アッシュは借金を返済できるのか!
アッシュの明日はどっちだ!