美しい炎を潜めた銀の瞳に、こちらの心も捕らわれる

苛烈な戦果と通り名を持つ女性軍人・高堂椿と、彼女が通う純喫茶のマスター・在原由衣が恋仲になるまでを描いた作品。モダンな喫茶店の雰囲気に包まれながら、確かに積み重なっていく心情描写が美しく、上質な織物に触れているような読書体験を味わえました。

かっこよくて美しい女性が好きな身としては、椿さんの妖艶と獣性が入り交じる、硝子越しに炎を見ているかのような瞳が強く印象に残りました。そんな瞳に見つめられ続けたら、うっかり陥落してしまいそう。熱視線を受け続けた由衣さんが、椿さんの方を向いていくまでの心情の変化もしっかり描かれていて、より結ばれた時の絆が固く、美しいものに見えます。

シックな世界に咲く鮮やかな百合の色、炎を潜めた銀色の視線を、ぜひ堪能してください。