猫とダンジョンは撮れ高ばつぐん!
- ★★★ Excellent!!!
主人公はダンジョンが出現した現代日本に暮らす高校生、春田光だ。
彼は家からの帰り道にUFOから出てきた二本足で立ってしゃべる猫に会う。光によってサンゴと名付けられたその猫は、いきなり宇宙船が壊れたから、家に泊めてなどとお願いしてくる。初対面の相手に対して図々しいが、猫ならまあしょうがない。
そんな光の異常をいちはやく察知するのが、A級探索者で元アイドルの従姉妹、美緒里だ。サンゴがただの猫ではないことを見抜いた彼女は、光が心配だからとか言って彼の暮らす山小屋に入り浸る。従姉妹ならまあしょうがないか。
主人公と猫は、広告収入を稼ぐため、ダンジョン探索の動画配信を始める。ダンジョン攻略に関しては、そもそもサンゴがダンジョンを作ったやつらより上位の存在っぽいので圧倒的イージーモードだ。
すでに大勝利を約束された状況である。
ダンジョン攻略やモンスターとの戦いより、配信の方がうまくいくかどうかというのが話のメインと言えるかも知れない。ヒロインが従姉妹であるように、ドメスティックというか親族間の繋がりが根幹にある物語のようだ。
幼い時に父母を、その後に育ててくれた祖父も昨年に失った光の現在の保護者は叔父である。
叔父さんは主人公を住んでいた祖父の家から追い出して、山小屋に住まわせるとか昔話の嫌な奴みたいな設定だが、作中で描かれる言動を見ると、世間体を気にして主人公に飯は食わせるが明らかに他の家族と格差があったり、事あるごとにイヤミを言ったり都合の悪いことには言葉を濁して答えなかったりする、リアルに嫌な奴だ。
つまりは嫌な奴なんだが、美緒里の父親でもあるので、何と言うか面と向かって悪口は言いづらいと言うか、身内にどうしようもない人がいる時の空気感リアルだわ。
嫌がらせされてる本人が文句を言えなくて、他の人がぜったい文句言ってやる!と怒ったり、それに対して本人がいいよいいよ面倒だから……みたいなやりとりが、実際あるよねこういうの……という生々しさがある。
配信を始める目的の一つには、叔父からの経済的独立もあるようだが、既に美緒里がアイドル的人気のある探索者ということで、やっかむ輩も多数存在するようだ。二人と一匹の未来はこれからどうなることか……。