見えざる心を映した万華鏡

剥き出しのわたしに触れるな誰一人 痛くていたくてもういたすぎて

僕はこの短歌が好きです。

作者様が「くらいきもちのうた」と名付けたこの短歌20首。あなたはどんなお気持ちで読まれていますか? 僕は大変申し訳ないのだけど、とても綺麗に見えました。

美しいモノだけが美しいのではないのです。

僕は物書きの端くれとして、「人が埋もれさせている何かを」を探しております。ここに詠まれた短歌には作者様が、躊躇い、狼狽え、隠し、飲み込み、埋もれさせた、そんな何かの想いが湧き出ております。

きっと、とても頑張っている
きっと、とても張り詰めている
きっと、とても無理をしている
きっと、とても……。

そういう埋もれた何かが湧き出た時、溢れんばかりのもう一人の自分を抱きしめて、止めようもなくこの歌は詠まれたものだと思います。

だから、僕はそんな想いの歌を綺麗だと言うのです。

生まれいでたる心の雫は、何色であろうと儚くも綺麗なのです。

剥き出しのわたしに触れるな誰一人 痛くていたくてもういたすぎて

僕はこの短歌が好きです。

皆様、どうぞ宜しくお願い致します。