くらいきもちのうた

西しまこ

自分の心に違背した中で息絶え

目の前を鴉羽ばたき黒霞 腹を裂くな鳴き声轟き

黒い羽根虚空に飛んだ 景色裂き鬱屈呼びて視界暗くす

ざわざわと闇に音して 硝子戸に映るわたしは寂しく居たり

幻日の朧げなりたる陽の光 心は掠れかすめかすれて

光無く音も消えゆく深海の砂に融けゆき散り散りになり

やわらかい泥の中にて微睡まどろみてじわじわ染みる死にゆく毒が


ねえ何処にあると云うんだ?いっぱいのお腹を満たす愛というもの

寄る辺無い身の悲しさよ 雲でさえ一つに成りて行くというのに


剥き出しのわたしに触れるな誰一人 痛くていたくてもういたすぎて


空低く自分の心に違背して灰色雲の中で息絶え

迂路行きて到達せずしてうずくまる 微かな光消えそうになり

攫われる激情の渦に脆弱な精神こころ弾けて行方も知れぬ

呑み込んで呑み込み過ぎて澱溜まる浄化も出来ず朽ちゆく躰



傲岸で不遜なわたし落ちてしまえ 奈落の底にそこのそこまで

ひたひたと迫る足音 見ては駄目気づくな気づくな息止めていろ


浮沈する川をゆく葉よ 橋に立ち次々流す海まで行けと

羽化をする白き蝶々の羽ばたきよ 行けよ行くがいいわたしの代わりに

改札を出て急ぎゆく人の波 わたしはどこに帰ればいいの?

昼闇ひるやみに悲しさつのり携帯の連絡帳から一人ずつ消す



血塗られた棘を手に持ち立ち竦む蒼白な顔歪みて消える

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くらいきもちのうた 西しまこ @nishi-shima

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