僕はスタンダールをよく知らない。でも彼が墓に刻んだ「生きた、書いた、恋した」という言葉は知っている。
僕はこの短歌20首を読んで、ふとその言葉を思い出した。そしてもうひとつ、「君のいない天国よりも、君のいる地獄を選ぶ」だ。
僕は恋愛とは、一歩間違えば発狂してしまいたくなる激しさを持つモノだと信じている。おそらく一生に1回か2回はそんな恋に人は堕ちるのだと思う。
そんな恋に破れた時、忘れ得ぬ想いは闇に埋もれる。僕はスタンダールの「君のいる地獄」とは実はそういう埋もれた想いを忘れすに、意味のない地獄で業火の様に残る恋心を指す様な気がしている。
恋とはそんな恐ろしくも揺るぎない、大切な想いなのだと思う。
生きてゆくうえで、人はそんな恋心を持ち続ける事はとても難しい。もっと安らぎ、癒され、暖かく、気楽で過ごしやすい相手と、長き時間を共にする方が遥かに幸福だと思う。
だけど、人は恋をする。
自分を見失ってしまうそんな恋をする。
僕はこの短歌20首を読んで、そんな事を考えた。馬鹿な読み方だと思う。申し訳ないなとも思う。でもそんな恋を垣間見た気がした。
この短歌は「くらいきもちのうた」と同時に発表された「続くらいきもちのうた」。僕にとって今日はとんでもない日だ。胸の奥の何かを思い出した。
皆様、宜しくお願い致します。