全くお見事ですよ。
そもそも読み始めが、コンテストの読者選考の期間が終わってからで、さらに自分の作品の都合で途中でかなり間が開いてしまいました。誠に申し訳ございませんでしたm(__)m
さて、本日最後の「サイコパスvsサイコパス」そして、エピローグを無事読み終えると、フゥ、と溜息が出てしまいました。
すべてミステリーでした。情けないですが、仕掛けにはとことん弱い人間なのです。ですけど、すごいミステリー。
ある病院の隔離病棟の「危険な出会い」から始まる作品ですけど、そこからさまざまな過去が複雑に交わり、どんどん危険な空気が心中に充満していくわけですが、最後は劇的な終わり方でした。
美少年の過去も、サイコパスの裏側も、そして、雲行きのアヤシイ不思議な恋だって、全てミステリーなんですね。
本当に感服させられる作品でした。次は何を出してくるのか、めちゃめちゃ楽しみです!
作品全体に儚げで薄暗い雰囲気が漂う作品。
一方で高校生が主人公なので、友だちとのやりとりなどはクスっときたり、恋模様のハラハラも存在します。
まさに思春期の年代の危うさときらめきを表現したミステリなんだと思いました。
といっても、主人公のジニみたいな人生は過酷すぎるのですが。
またこの作品は、記憶がテーマなのだろうと思いまして。
主人公の少年ジニは記憶にない事件の犯人にされてしまう。
ヒロインの少女は初対面の美少年から以前、会ったことがあるといわれて困惑する。など、様々な登場人物が鮮やかにリアルに存在し、彼らがなぜこんなことに巻き込まれたのか、といったところに読者は引き込まれます。
一体何があったのか。誰が諸悪の根源なのか。
何も悪くない少年少女たちが、身勝手な大人に翻弄され、人生が崩れていく様が描いてあるのですが、なんとラストはとっても爽やかでした。これからはきっと素敵な日々が待ってるんじゃないかな、と読後感はとっても良いです。
完結済です。世界観がしっかりしているので一気読みして、この独特の雰囲気を満喫するのもいいんじゃないでしょうか。おすすめです。
異世界ファンタジーにコメディーにタイムスリップと、何でも書ける多才な作者さまです。そのうえに、長編短編のすべてが完結済みです。同じカクヨムで書いているものとして、ほんとうに羨ましい才能です。
そして今回の作品のようなサイコパスが登場する現代ミステリーもまた、作者さまの小説家としての才能が惜しげもなく発揮されるお得意のジャンルです。
普通の人とは違った思考回路を持って生まれたサイコパス。その怖い怖い描写は圧巻です。そして当然のこととして、ミステリー小説としての読みごたえも十分です。終盤にかけて伏線の1つ1つが回収されて、浮かび上がってくる犯人像……。
「凄惨な連続殺人事件と傷害事件の犯人は、おまえだったのか!」
これから読まれようとする読者さまも、ぜひ、私のように最後に叫んでくさい。
冤罪事件に巻き込まれた沓鷲路二(ジニ)と、生きづらさを抱えた高校生水越陽毬(ひまり)。
このふたりが辻が丘高校で出会ったところから始まるのですが……。
一方は「再会」だと思い、もう一方は「はじめまして」だと思っています。
さてこの記憶の齟齬の原因は……? そしてジニの冤罪の真犯人は……?
というお話なのですが……。
謎解きであると同時に、ジニの心の再生の物語でもあります。
親に、境遇に、生活環境に恵まれなかったジニ。
だけど親代わりの大人を得、心許せる友を見つけ、愛する人と手をつなぐ。
そうして、ずっと奪われ続けていたものを獲得し直す物語でもあるような気がします。
毎回思うのですが。
この作者様、ミステリアスな美少年を書かせたら、本当に素晴らしい!
今回のジニも素敵ですが……。
私の一押しは『彷徨える王』ですね。
気になる方は、ぜひそちらもどうぞ。
かつて婦女暴行の冤罪をかけられて、少年院送りになった過去を持つ少年ジニ。
出生後、とある高校に転校した彼が出会ったのは、もう一人の主人公とも言えるこのお話のヒロイン、ヒマリちゃんでした。
実はかつて会っていた事のある二人。その時は仲がよく、冤罪をかけられて不幸な人生を歩んできたジニにとってヒマリの存在は希望だったのですが。
そのヒマリの態度がどうにも変。どうやら彼女はジニのことを覚えていないよう。
読者目線だとジニの再会できた喜びと、忘れられていた悲しさがわかるだけに、ヒマリ、思い出してあげてと何度思ったことか。
ヒマリもそんなジニが気になるも、思い出せないのだからもどかしい。けどそうやって悩みながらもジニに惹かれていく様子に、キュンとさせられました。
しかしこのお話、甘酸っぱい恋愛小説では終わりません。何せジャンルは、ミステリーなのですから。
ジニが冤罪をかけられた暴行事件は、なぜ起きたのか? 実はジニの周りではこれ以外にも、不可解な事件が起こっていたのです。
冤罪をかけられるだけでなく、何度も事件に巻き込まれるジニ。彼がいったい何をしたと言うのか。
事件のハラハラと恋のドキドキが調和する、ハードな青春ミステリー。
謎に包まれた事件の真相と解き明かし、彼らの行きつく先を見届けてください。
とある高校に編入してきた美少年、ジニ。
彼はその容姿と独特の雰囲気のためたちまち注目を浴びることとなるのですが、彼はかつて、婦女暴行という事件を起こし、隔離病棟に入院していたという過去を持っていました。
ただその事件、どうにも怪しい臭いが漂っているのですよね。
そもそもジニ自身はそんなことやった覚えは一切ないのに、そんな訴えは誰にも届くことがありませんでした。
さらに、編入したクラスにいる少女ヒマリは、ジニが入院していた際に知り合い、何度も話しをした中。なのに彼女は訳あってその時のことをすっかり忘れています。
身に覚えの無い罪で入院措置をとられたり、その時会った子は自分のことを忘れていたり、ジニにとっては悲しく納得できないことの連続。
しかし運命はなおも彼を虐めようとしているのか、新たな事件が。
事件の真相も気になりますが、何より、全てが終わった後、ジニは笑顔になることができるのか。
たくさん苦しい分、彼には少しでも多くの安らぎを得てほしいです。
すごい!
この小説を一言で表すと、そんな、ありきたりな感想になってしまいます。
どんなに言葉を飾っても、それが陳腐なものになってしまいそうで、結局は、「すごい!」という言葉に尽きる。そう思います。
何を書いてもネタバレになりそうで怖いのですが、出来るだけ本編に触れないように、このミステリのすばらしさを紹介させて頂きますね。
ミステリー小説って、『この人が犯人かなぁ』とかいろいろ想像しながら読むじゃないですか?
もちろん、この小説も『犯人誰だろう』なんて思いながら読み進めていました。当然、怪しい人はいるんです。でも、どうにもしっくり来なくて。タイトル通り迷走してしまいました。(タイトルの迷走は、私の迷走とは関係ありません)
それが、最後に『あぁ、そういうことだったのね』という感じで、今までのエピソードに散りばめられた伏線とかが、綺麗にカチリと嵌まります。
そして、明かされた真実に驚かされます。
もうびっくりです。
さらに、その後、爽快な読後感を感じられます。
学園ものだけあって、主人公とヒロインのちょっと切なくて、キュンとするような恋のエピソードや、青春らしいエピソードなんかもちゃんとあります。
物語を通して主人公も、ヒロインもちゃんと成長する。そんなところまで、しっかりと描かれています。
それなのに、それらすら最後の真相への伏線が含まれたりするんです。
読みやすいとか、そういうレベルの話じゃありません。
本屋さんに並んでいるミステリ小説にも匹敵、いや超えるくらいの面白さと読後感を味わえます。
ぜひ、読んでみてください。
中学まで不眠症に悩まされて入院していた少女ヒマリは、ある治療法を試して病気を克服する。それと引き換えに入院していたときに知り合った、気になる男子のことまですっかり忘れてしまうことに。
そしてヒマリが高校生になったある日、あの頃の男子が転校してきます。
そこから始まるすれ違いと封じられた記憶とがヒマリの感情を大きく揺さぶります。
元々メンタルが強くなかったヒマリが、この先どうなってしまうのか。
現在第3章が終わり、次話から物語は新たなる展開を呈しています。
異色ミステリーは本コンテストの目玉作品です。
まず第1章第1話をチェックしてみましょう。
きっと情感豊かな文体で物語に引き込まれますよ。
帰省ラッシュの息抜きにでも読んでみませんか?
作者雨杜和様の得意な妖しく湿気沢山の重厚な学園ミステリーです!
主人公のジニはめっちゃ美少年なんですよ。文章からその美しさが良く分かります。
これを書いている時点ではまだジニが高校に編入してきたって所ですが、ミステリーはジニが中学生の時に始まっていますのでね……。
この美しい少年が本当に婦女暴行をしたのか?
したのなら何故?
していないのなら、誰がジニを陥れた?
謎が謎を呼ぶ第一章でした。
ジニは寡黙な少年なので、多くを語らない所がまだ妖しい魅力をUPしています。
学園ミステリーらしく、きゃっきゃとはしゃぐJKや、クラスメート内のヒエラルキー、恋愛なんかの要素も出てきます。
盛り沢山の要素ですが、それをスッと読ませて脳に焼き付けるかのような流れる文章を書くのが雨杜和様です。いつもながら、その筆力には脱帽してしまいます。
追いかけるにしても、まだ物語は序盤です。全然間に合います。
是非とも多くの方に読んで頂きたい作品です。