この薄幸の美少年に一体何が起こったのか?

作品全体に儚げで薄暗い雰囲気が漂う作品。
一方で高校生が主人公なので、友だちとのやりとりなどはクスっときたり、恋模様のハラハラも存在します。
まさに思春期の年代の危うさときらめきを表現したミステリなんだと思いました。
といっても、主人公のジニみたいな人生は過酷すぎるのですが。

またこの作品は、記憶がテーマなのだろうと思いまして。
主人公の少年ジニは記憶にない事件の犯人にされてしまう。
ヒロインの少女は初対面の美少年から以前、会ったことがあるといわれて困惑する。など、様々な登場人物が鮮やかにリアルに存在し、彼らがなぜこんなことに巻き込まれたのか、といったところに読者は引き込まれます。
一体何があったのか。誰が諸悪の根源なのか。

何も悪くない少年少女たちが、身勝手な大人に翻弄され、人生が崩れていく様が描いてあるのですが、なんとラストはとっても爽やかでした。これからはきっと素敵な日々が待ってるんじゃないかな、と読後感はとっても良いです。

完結済です。世界観がしっかりしているので一気読みして、この独特の雰囲気を満喫するのもいいんじゃないでしょうか。おすすめです。

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