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 この人誰だろう。フィアって誰だ?そんな疑問などはすぐには出ず、「コレは現実か?」という疑問しか出なかった。小学生のような見た目の天使。やせ細り、恐怖に歪んだ顔をして、うめき声のような音を出し続けている霊、と思われるナニか。それを弾き、僕らを守っている(ように見える)、透明で少し金色に輝く壁のような物。そして――


「間に合ったぁー!君たち大丈夫?」


 そしてこの人だ。急に現れ助けてくれた。なぜココが?何故助けてくれたんだ?いくら考えても疑問は尽きず、極限状態で限界まで引き伸ばされた思考がどんどん元に戻っていく。その間にも、霊はうめきながら壁を壊そうと引っ掻いたりしている。


「あんた、助かったよ。」


 いつまでも思考を回転させていた僕より先に霧下が口を開く。

 そ、そうだまずはお礼言わなきゃ。


「ありがとう、ございます。」

「別にいいけど、このままじゃ持たないんだよね。」

「はぁ!じゃぁどうすんだよ!」

「そこの黒髪君!抱えてるフィ…あ、えーと‥そ、その子貸して!」


「黒髪君」は僕のことを指しているとすぐにわかった。だが、僕は抱えているこの子。茜ちゃんを渡しても良いものか、少し迷った。だが、こんな不思議な力があるからには茜ちゃんと同じ天使だろう。そう考え、この人(?)に茜ちゃんを渡した。すると、信じられない事が起こった。

 光ったんだ、茜ちゃんが。

 正確には服(まとっている布)が光っている。それは光りながら、一部鎖鎌くさりがまのようなものになって彼女の手に収まった。すると周りが凍りつくようなプレッシャーに包まれた。直後、彼女は霊に向かってそれを振り下ろした。光の線のような、流れる星のようなスピードと光で振り下ろされた鎖鎌(のようなもの)が霊の首に巻き付き、たちまち伸びながら体全体を包み込むと白く光る十字架のような輝きとともに消滅していた。

 すると謎の女性は気が抜けたような声で、


「ふぃ〜つぅかれたぁ〜」


 なんて緊張感のない声を出す。僕や霧下も気が抜けたのか、へなへなとその場に倒れ込む。先程まで僕らを追いかけてきた霊は跡形もなく、先程より不気味な雰囲気の薄れた廃墟の静けさが戻ってきた。

 何だったんだろう?取り留めの無い疑問が湧き出そうになるのお必死に抑え、僕は一番にするべきことをする。


「霧下、茜ちゃん。大丈夫?」

「俺ぁ大丈夫。でも茜ちゃんは分からねぇ‥‥」

「あ〜。フィアは気絶したら30分は起きないから。ダイジョーブ!」


 それって大丈夫なのかな?30分も気絶してたらヤバイんじゃ‥‥

 と、そこまで考え"30分は"起きない。ということを知っているなら今までも同じようなことがあったのだろう。と思い、大丈夫!と半ば無理矢理に自分を納得させ、謎の女性に質問をぶつける。


「えっと、今更ですが、どういう状況なんですか?」




 ◆ ◆ ◆ ◆




 茜ちゃんが起きるまでの30分、僕と霧下は説明を受けた。茜ちゃんにも聞いた霊を回収しにきたということ。フィアってのは茜ちゃんの本名?みたいなものらしい。何でも天使は100歳になると、性格や特徴から英名が名としてつけられるのだそうだ。フィアっていうのは恐れという意味の単語らしい。


 この人の名前は――


「私はーまあまあ偉い天使だからねー。おしえられないなぁ〜。」


 だそうだ。


「へぇ〜天使にも役職ってあるんだなぁ。」


 などと霧下がのんきなことを言っている。そこで疑問が浮かび、この天使さんに質問する。


「あの、天使さん?茜ちゃんって23歳って言ってませんでした?」


 たしかに初めて――と言っても数分前だが――に合ったときは23歳だもん!と言っていたはずだ。


「天使さんじゃ呼びづらいでしょ。とりあえず‥えっと、そうだなぁ。あかりってよんで!」

 「わかりました。えっと、それでさっきの質問は?」

「あぁ年齢の話ねぇ。フィアよく間違えるの。気にしないで。」 


喋り方と言い、年齢を間違えることといい、ちょっと見た目より幼い感じだな。

などと思っていると霧下が口を開いた。


「えっと、天使って精神年齢?はどーなってんだ?」

「えっと…本来であれば、見た目より5歳上のはず…なんだけど…。」


 この天使さんが出会って初めて――といってもこちらも出会ったのは数分前だが――初めて口ごもり、迷ったような素振りを見せたあと、口を開いた。


「この話はフィアが起きてから、本人に聞いた方がいいよ。私は勝手に話せない。」


 なにか訳ありなのかな?まあ、茜ちゃんが起きるまでまとう。なにかが変わる予感がする。それは果たして、良い事か、悪いことか。


 それを知るすべはないが、きっと、良い事だと思う。


 吹き抜けの天井から見える空には、大きな星がきらめいていた。





 ◆ ◆ ◆ ◆



 あとがき


 こんにちは、デルトです。

 まずは謝罪を。今回更新が遅れに遅れたこと、誠に申し訳ございません...!!


 理由を述べさせていただきますと、僕は今年から中学生で、夏休みの宿題がとてつもなく多く、難易度も高く、悪戦苦闘していたらこんなに立ってしまいました。

 本当に申し訳ございません。


 では、ここらで今回のお話に触れようと思います。

 今回はまぁ。すごい重要なお話になっています。はいw。


 ココらへんでお話は一区切りということで、次回から本格的にストーリーが進行していきます。


本格的に書くのは初めてなので、また更新が遅れたりするかと思いますが、何卒、よろしくお願いします!


ではまた次回でお会いしましょう!さようなら〜。

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怖がり天使と肝試し! デルト @delt01977

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