第2章 脱出

「道具忘れたの!?」

「どうすんだぁ!」

「ご、ごめんなさぁい!」


 ヤバイぃ!!!と、全員で慌てふためく。

 ――道具忘れちゃったって、どうすりゃ良いのさぁ〜!――


「きき、霧下きりしも!どうする?」

「えぇ!、ええっと、こっから脱出して道具取ってくるしかないんじゃねぇーか!?」


 だ、脱出かぁ〜ホームレスの霊に見つからないように、しな、い、と……

 天川が脱出方法を考えていると、前の柱の影から青白い肌でガリガリにやせ細り、苦しみに引きつった顔のナニかがはいでてきた。


「なに、あ、れ」

「わっかん、ねぇよ。足、動くか?」

「動か、ない。」

「ははっ。俺も、だよ。」


 恐怖で僕らが動けなくなっているとき、頼みの綱の天使様は、恐怖で気絶していた。


「あ、茜ちゃん!起きて!」

「おい!頼む!」


 僕らが必死に起こそうとしている間にも、ナニかはジリジリと、おぞましい、声にもならないうめき声のような音を出しながら迫ってくる。

 この場にいる者すべてが諦め、絶望した。そう、彼一人を除き。


 僕や霧下は何も出来ない。やっぱり茜ちゃんを起こさないと!でもどうやって?いや!い、今はそれよりも!


 引き伸ばされた思考の中で、”今すべきこと” を導き出した天川は恐怖で動かない足を無理やり動かし、霧下と気絶した茜を連れて走り出した。

 天川につれられたことで動けるようになった霧下が走りながら天川に問いかける。


「ゆーた!どうする!?こんままだと追いつかれるぞ!」

「茜ちゃんを起こす!」

「どうやって!」

「廃墟は屋根なんかがなかったりするから、ボコってなったとこに雨が貯まるんだ!それを顔とかにかけたら起きる、と思う!」

「と思うかよ!まぁ、やってみっか!!」


 ココに来るまでに水たまりがあったところは、7〜8分ぐらい走ればつく。でも、茜ちゃんを抱えながら追いつかれず走りきれるか?どうする、どうする!


「こっちよ!君たち、おいで!」


 誰だ!?くっこのままだと追いつかれる!しょうがない…


「霧下!行こう!」

「あ、ああ!わかった!」


 声がした方に転がるようにして走り込むと、追いかけてきた”霊”と思われるナニかが見えない壁にはばまれたように動きを止めた。いや、実際にあるのだ。半透明な、金色に輝く壁。盾のようなものが。


「間に合った!助けに来たよー!Fear《フィア》!!」





 ◆ ◆ ◆ ◆



 あとがき


 前回、「次回までに挨拶考えてきます…!」と申したのでございますが、考え!考え抜いた結果!「あれ?挨拶って、そもそもいる?」という結論に至りました。これから気分次第でしたりしなかったりしていきます。


 今回は新キャラ登場!ようやくホラーらしい展開ですねぇ。この新キャラの名前は、次か次の次ぐらいのお話で出てくる予定です。


 さぁもう書くことないのでこの辺で。また次回、お会いしましょう!!

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