終 それでも短歌がいい

上の句は さらと浮かびし ものなるも 足掻き捻れど 成らぬ下の句

上の句は さらと浮かびし ものなるも

 足掻あがひねれど 成らぬ下の句



 歌を詠むとき、大抵そのような状況に陥ります。

 下の句までするっと出てくることは皆無です。

 上の句は浮かんでも、結局完成しなかった場合もあります。


 それなら俳句にすれば? というのは違うのですよね。

 あの極限まで研ぎ澄ました五七五、それよりもう少し複雑な何かを表したいのです。


 私が言葉で表現したいものは、概して表層のもう一つ下に潜む何か、目に見える現象を引き金とした情動とでも言いましょうか。

 そうしたいささか漠然としたものを表現するには、俳句よりもう少し文字数が欲しい……そう思うのでした。

 私の思考の解像度には、俳句より短歌のほうが合っているのでしょう。


 大した数を詠めなくても、それでも私は短歌がいいのです。

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それでも短歌がいい Skorca @skorca

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