雨のように浸み込む学園ミステリー

静かにしっとりと、降った雨が土に染みるようなミステリーだと思いました。
学園を舞台にした七不思議といえば、少年少女たちが謎を解明していくのがセオリーですが、この作品は違います。

じわりじわりと七不思議の一つを読者に開示していく。
丁寧に、丁寧に。
始めは、興味本位で触れる学生たちの心境。
中盤は、ハラハラドキドキが待ち受けていて。
終盤の真実は……。

能楽を交えながら謎に迫っていく様は、物語に厚みを加えるどころか、より深く引き込む要素になっています。
故に静かに。そう、静かに進んでいきます。
そして気がつくと、のめり込むこと間違いなし!

是非、最後の解まで読んでほしい作品です。
そして読了後、どう感じるでしょうか。

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