第13話 UMA探索隊

 桜坂高校オカルト研究部所属の渡辺部長とその後輩の早乙女は山奥の森林でツチノコの捜索に出ていた。目撃情報をもとに二人は山奥を進む。長き奮闘の末に二人はついにそれらしき生物を見つけるに至った。


「さ、早乙女くん! 大発見だ! ついにツチノコを見つけたぞ!」


「わぁ、ほんとだー。すごーい」


 渡辺の目の前にはツチノコらしき蛇が地面を這いずっていた。腹が大きく膨れ上がった可愛らしいフォルムは間違いなくツチノコだった。


「こうしちゃおられん! さぁ! さっそく捕まえるぞお!」


 意気揚々と渡辺は手にもった網を掲げ目の前のツチノコを捕まえようとした……その瞬間だった。


 ツチノコは体を大きくのけ反らせると「オエエ」と口から瓢箪ひょうたんを勢いよく吐き出すのだった。


「なにっ!?」


 蛇は元のスリムな体型に戻ると何事もなかったかのように茂みの中へと消えていく。


「部長。これって……?」

「ああ、単に瓢箪を誤飲してしまった蛇だね」


 二人は残念そうに肩を落としていた。


 そして、別の日のこと。オカ研の二人はとある牧場にチュパカブラが出現したとの情報を聞いて、イキイキとそこに駆けつけた。


「ここにチュパカブラ出たって聞いたのですが!」


 二人はその牧場の主にチュパカブラの情報を聞くと、その牧場主は大層笑うのだった。


「チュパカブラ? ははは、いやぁ〜誰かが勘違いしたんだろうね。あれはね、動物園から脱走したナマケモノだったんだよ」


「な、ナマケモノ!? そんなものと見間違えることなど!」


「いやぁ、あるんだなそれが。ほら、湖を泳いだから毛が濡れて肌にぴったり張り付いててさ、それにナマケモノって元々の体型が骨ばってるんだよ。おまけに爪も長く伸びてるから側から見ればバケモノに見えるんだろうね」


 陽に焼けて肌が浅黒い牧場主は河童のように禿げ上がった頭頂部を撫でさすりながら答えた。彼が持っていた写真に映るナマケモノは、体毛がピッタリと肌にくっつき、まさしくチュパカブラのように見えた。


「そんな……」


 またしても肩を落として残念がる二人だった。


「そうだ。ナマケモノを動物園に返すんだがね。キミ達も着いてくるかい? いまそこの動物園に珍しいアルビノのゴリラがいるみたいなんだ」


 牧場主の言葉に甘えて二人はそこの動物園に着いて行くことにした。世にも珍しいアルビノのゴリラの檻の前には人だかりができていた。


「まるで雪男みたいだねぇ、ね、部長?」

「言われてみれば確かにだな」


 遠目からそののゴリラを覗き込んだ二人は虚しく感想をぼやくのだった。


 最近手に入れたUFOの写真もただのフリスビーが映っていただけだし、スカイフィシュも高速で入り込んで残像となった羽虫の類い。廃部の危機に晒され、成果もあげられないままの二人はずっと落ち込んだままだった。


 落ち込む彼らを見た同級生はこう言っていた。


「はぁ? UMA? そんなの見た奴の勘違いだろ? お前ら、そんな馬鹿げたもん追っかけ回してんのかよ」


 渡辺と早乙女の二人はそう指摘されると何も言い返すことができなかった。



※憶測なのですが、怪談の『くねくね』も単なる勘違いによるものかと思います。田畑に出る、屋根のない夏場、となると熱中症が引き起こした幻覚、それか蜃気楼によるカカシの歪みではないかと勝手に考察します。

見てしまったらおかしくなってしまうのも熱中症が引き起こしたものだとしたら何となく整合性が取れるような気がしますよね。

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幻想物語 加賀美うつせ @kagamiutuse

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