第128話 日本人の起源について、実は、新しい論文があった。
ここ二日ほど、日本人の起源についての遺伝子考古学の話をしてきた。サイエンス誌に載った論文では、古墳時代に多くの漢民族が移住してきて、元からいた縄文人と弥生時代に移住してきた渡来人の遺伝子を上回ってしまったという結論だった。この論文は日本でも大きく取り上げられていたと思う。出たのは2021年の9月だった。このモデルでは縄文人+2種類の渡来人が現在の日本人のルーツであり、古墳時代に移住した漢民族が7割くらいの遺伝子を占めると言う結論だった。
これに対して、昨年の10月にNature誌に掲載された論文では、ある弥生時代の個体(山口県下関市土井ヶ浜遺跡)の遺伝子を解明し、弥生時代に(古墳時代以前に)渡来した人物が、東アジア系(漢民族)と北東シベリア系(朝鮮系民族)の両方のゲノム成分をあわせもっていたという報告がされている。このため、弥生時代に日本へやってきた渡来人には、現在の日本人の遺伝子の主流をみなす漢民族の遺伝子はすでに、渡来人に十分存在したため、古墳時代に多くの漢民族の渡来したというモデルが必要なくなるなと、現在の日本人の遺伝子構成を説明できると結論づけている。以下がこのNature誌の論文へのリンク。
https://www.nature.com/articles/s10038-024-01295-w
この論文のまとめの様なものが、日本語で出ているので、ここにそのリンクも貼っておく。
実は、現代の韓国人と古代の韓国人(朝鮮人)は遺伝子には少しの違いがあったと言うのも面白いと思えた。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/163986/2
もう一つ興味深いのは、この土井ヶ浜弥生個体には既に、縄文人の遺伝子が取り組まれていた。この個体が日本で生まれた証拠だろう。
この様な異なった結論を出す論文がサイエンスやNatureに掲載される理由は、決定的なデータを出すには、未だ遺伝子が摘出できる弥生・古墳時代の個体の数が足りないための様に思える。古墳時代に漢民族が大量に押し寄せたかどうかは、未来の研究が解明してくれるだろうが、どれだけの時間がかかるかは予想もできない。現在、多くの漢民族が日本へ観光で訪れている様だが、2000年くらい前にも同じことがあったのか?あの頃は爆買いとかいう単語はなかっただろうが(笑)。
最後にの論文の結論と最後の文の日本語訳を載せておく。
"East Eurasian populations have been reported to exhibit a genetic cline along a North-South axis [75, 76]. It is expected that in continental East Eurasia, more northerly populations possess a higher proportion of Northeastern Siberian-related ancestry, while more southerly populations tend to have more East Asian-related ancestry. Considering all the results from the present study, the most plausible scenario is as follows (Figure S4): The Korean population, possessing both East Asian-related and Northeastern Siberian-related ancestries, migrated continuously to the Japanese Archipelago from the Yayoi period to the Kofun period. This migration involved admixture with the local Jomon people. Modern Mainland Japanese are considered descendants of this admixed population. Future analysis of the genomes of Yayoi and Kofun individuals from various sites of the Japanese Archipelago would shed light on how the immigrants spread across the Japanese Archipelago while admixing with the Jomon people."
最も妥当なシナリオは次のとおり (図4): 東アジア系集団と北東シベリア系集団の両方の祖先を持つ朝鮮人集団は、弥生時代から古墳j代にかけて日本列島に継続的に移住した。この移住には、地元の縄文人との混血が含まれていた。現代の本土日本人は、この混血集団の子孫であると考えられる。今後、日本列島各地の弥生人や古墳人のゲノムを解析が行われることによって、渡来人がどのようにして縄文人と混ざりながら日本列島に広がったのかが明らかになるだろう。
日系3世と間違えられた @fumiya57
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