先週、米国大手の健康保険会社の最高経営責任者(CEO)が暗殺される事件があった。その直後の米国の世論には、暗殺者に同調するものが目立っていた。そして、その男が、昨日逮捕された。事件はニューヨークで起こったが、犯人はペンシルベニア州のマックで朝食をとっていた間に通報されて逮捕された。
これに関して、事件直後から続けて、多くの米国人は、犯人を支持する姿勢を見せている。犯人はDelay, Deny, Defendという単語を薬莢に書き込んでいた。これは、保険会社が保険申請を却下するために使う手段だと暴露した本の題名でもある。ちなみに、Amazonはこの三つの単語のロゴの入った製品の販売を禁止した。国民保険のない米国では、民間の健康保険に加入する必要がある。しかし、怪我とかしても、医療費をなかなか払っくれないと言われている。そういう不満が、この犯人に同情する世論を生んでいる。
この保険会社のFacebookページのCEO暗殺を嘲笑う(Laugh)の評価をした者が5万人以上いたとか。どこかで、暗殺者のそっくりさんコンテストがあったりしたそうだ。
もちろん、この背景には、怪我したりして、保険会社に被害を申請しても支払いが却下されるケースが多いためだ。犯人は高校もエリート階級しか通えない様な学校を主席で出て、アイビーリーグのペンシルベニア大学まで卒業している、エリートファミリー出身の優秀なはずの若者なのだ。
この事件で思い出すのが、安倍首相の暗殺。米国の事件でも使われたのは、3Dプリンターで作成された自家製の拳銃で、幽霊銃ともいう。そして、首相の死後に出てきた統一教会との癒着の問題のおかげで、犯人に対する同情を思い出す。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09D0M0Z01C24A2000000/