　スコーナは、二人をある部屋に案内した。それはメイドの控室だった。そこで小声で、エンリルとノレアの椅子を用意して、化粧台の前で話をした。

「お茶も出さずに失礼します……旦那様には内緒にしていただきたいのですが、私は旦那様は今回本気であなた方に協力するつもりがあるのかと疑問に思っているのです」

エンリル

「それはまたどうして？」

「何かの利があるのでしょう、これは噂ですが“悪魔ジュヴァル”が隠した秘宝がこの屋敷のどこかに眠っているという話があります、あとこれも噂ですが“オリエラの遺言”がそこに眠っているという話ですよ」

「遺言？どんな話です？」

「それはジュヴァル、つまりオリエラは……確かに村人に裏切られたわけですが、それでも一人の人間を……村の神父を信じていたのだという事らしいのです、人々が裏切ったり、オリエラが自らを生贄に捧げようとしたときにも、彼だけが反対した、その神父のために、城の隣にある教会に遺書と財宝を残したとか」

「ここの事か……」

　ノレアが口をはさんだ。エンリルが尋ねる。

「ほかに、何か知っている事はありませんか？」

「ええ、ここには“隠された部屋”があるのではないかという噂があります、最もそこへ入った人は戻ってこれないとか、ここのメイドでも何人か行方不明者がいますから」

　それから、２，３ヒントを残して、彼女は仕事があるといって、いってしまった。エンリルとノレアは探索を続けることになった。

　まずは一回の、玄関に近い二部屋……物置から。エンリルはまじめに様々な部屋を先頭きって、汚さないように探索いていたが、ノレアのほうは、エンリルを質問攻めにしていた。エンリルは、ノレアの羨望のまなざしに気づいていたが、詳しく聞くことはしなかった。

「嫌いなものはありますか？」

「男かな……」

「え、意外ですね」

「意外って何よ」

「そりゃあ、ありとあらゆる経験が豊富で……優しく素晴らしい男と出会っているものかと、隠れて彼氏もいるんじゃないかって」

「そんなの表立っていたら大変でしょ、緩い教義とはいえ仮にもシスターなんだから」

「何もかも完璧だとおもっていたから……何かすみません」

「そう……」

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