今日に少しの勇気があれば、明日はきっと歩き出せるよ

九死に一生を得た喜びと若さ、作者の性格による明るさと楽しさで満ち満ちている。

エッセイとはいえ、「日常から非日常、そして日常への帰還」といった流れで組まれており、「発端→葛藤→危機→クライマックス→結末」の順。
本作は小説ではないけれども、読み手を意識した構成で書かれている。

かかりつけ医が紹介状を書かなければ、おそらく腎臓が破裂して大変な状況へと陥っていたに違いない。
大事なのは定期検査と、持つべきはかかりつけ医である。
そもそも、かかりつけ医がいるなら、まず最初に訪ねなかったのだろう。

おかぴ先生のザバスのプロテイン(ヨーグルト味)や飲み物が書かれているところが興味深い。
病院食も、どんなメニューか、給食の懐かしさをおぼえたことや、御飯の量が多いけど美味しいといって食べているところも面白い。

「イチャイ……」「イチャカッタ……」の書き方が可愛らしい。

「幼稚園児みたいなことを考えて知能レベルを下げないと受け止めきれない」はよくわかる。
ストレスが掛かると人は、難しいことが頭に入ってこなくなるもの。
このあたりの表現が、端的でわかりやすく、しかもユーモラスに書けている。
深刻な場面なのに。
作者が読み手を意識して、バランスを取ろうとしているところが上手い。
自分は大変だけど、この大変さを楽しんでもらおうとしているかのようである。

書かれているとおり、人生は一度きり。
元気に笑顔で、今を一生懸命に生きたいものである。


ところで、退院するとき、アンケートに「看護師を増やしてください」「看護師に優しい環境を」と書いたのかしらん。

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