未知なる惑星(ほし)に君は降り立つ
鐘古こよみ
地上でひととせ
迫りくる未知との遭遇おののいて欠けたる月のごとき腹撫で
うららかや吾子抱き思ふ恩返し 口に指立て舞う蠅諭す
呼び慣れぬ子の名に舌先くすぐられ 転調する声 母思い出す
祝日はゴミ出せぬ日と知りにけり オムツ山から夏ご挨拶
桃の肌 赤きふくらみはつとして虚空睨んで槍兵討伐
夜空咲く光の花を目に宿す幼子打ち上げ父になる腕
米どんぐり ビーズに小豆 小石ボタン 一生分のマラカス作る
お父さんお母さんと呼ばせます ママって言ってる前言撤回
落つる陽にもみじ掲げて泣く子かな つむじ宥める天狗の葉団扇
柔らかき髪と爪とを切り落とし まだ新鮮とティッシュに包む
英雄に糸玉渡すアリアドネ うちにも必要 母はトイレよ
雀の子たどたどしくも砂浴びる 我が子も一緒に免許皆伝
赤服の老人いつから来ませりか 聖夜の足音ふと顧みる
硝子の眼 我を写すと悟りけり 迫る笑顔にアルバム埋まる
迷路かな暗号かなと黙考す 巌の祖父の深き皺見て
初がつく全ての日々を抱きかかえ駆け込み参拝 干支は何かな
石筍のごとき乳歯が輝ける洞に行列みんな眩しげ
へこむほど喜ばしきとはこれいかに 虹のアーチの土踏まずなり
あるくあるくあるくころぶ泣くか泣かぬ止めてくれるな
乳児用ケーキに手形クレーター月着陸の一歩に匹敵
未知なる惑星(ほし)に君は降り立つ 鐘古こよみ @kanekoyomi
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