幼少期のころのちょっとほろ苦くも温かいお話や、学生時代の、巫女さんのバイトのお話、読んだ本のお話、などなど、多種多様なエッセイです。そのどれもが深いけれど、温かく、そして笑える。作者さんのユーモアのセンスに脱帽です。
SF、ファンタジー、ミステリ……多彩な世界を精緻にくり広げられる鐘古こよみさん。その人となりがどのようにして形作られていったのか、どのような世界を見てこられたか。読み進めるたび、それを追体験できるような気がして圧倒されてしまう濃密エッセイ。
三題噺、SF、その他色々、世界観や文体を変えて様々な世界に私達を連れて行って下さるストーリーテラー。そんな作者様が書かれたエッセイは、過去のご自身を時代ごとに語っておられます。読んでいる私達も、いつしか、自分はこのエッセイに書かれた年齢の頃、どうしていただろうか、と考えてしまうことでしょう。ぜひ、ご一読をお願い申し上げます。