第2話 後編
そうして、ティナは森の大きな木にむかって、たくさんあるきつづけました。ときには、キツツキさんが木をコンコンとたたいている音が聞こえたり、小さな木のみが落ちているのを見つけたりします。ティナは、それを毎回ちゃーんと見てから歩き出します。
そうして、ティナがぼうけんをはじめてから三日がたちました。今は夕方。食べものはあと一回分しかのこっていません。
やっと、大きな木のまえにたどりつきました。ティナは、木におそるおそる近づいていきます。その木はねもとが光っています。もしかしたら、この木がすいしょうだまのある木なのかもしれない。ティナにそんな考えがよぎります。
しかし、あるこうけいを見たとき、ティナは考えがまちがっていたことをしります。——木のみきにできた、光る小さなあなに、羽をはやしたかわいらしい女の子がねむっているこうけいを。
(この子……もしかして……)
ティナには、この女の子のしゅぞくに思い当たるものがあります。そうして女の子のことをじーっ見つめていると、女の子は目をさましました。
「ふぁーぁ。よくねたー」
せのびをしながら目をこする女の子。ティナは、さらに女の子とのきょりをちぢめます。
「あ、あの……」
「うわぁっ! び、びっくりした……」
ティナが話しかけると、女の子は目を見ひらきます。ティナは、そのおどろいた顔をみて、もうしわけなく思いました。
「あの、ようせいさん……ですか?」
「え?」
「あ、ちがっていたらごめんなさい。ただ、はじめてみかけたからうれしくって」
少しだけぶきようなほほえみをうかべるティナ。それを見た女の子も、つられてにっこりわらいます。
「そうなんですか? あたし、ようせいのアリシアです!! あなたは、なんておなまえですか?」
「えーっと……ティナ、です」
「ティナさん!! よろしくおねがいします!」
「よ、よろしくおねがいします……」
ふたりは、あくしゅをします。ティナがひとさしゆびをさしだし、アリシアがりょうてでつかむようなあくしゅです。
「あの、ティナさん!」
「? なんですか?」
「ごはん、ありますか?」
そのとき、アリシアのおなかの音がなります。それとどうじに、ティナのおなかの音もなりました。
「木のみなら……いっしょに食べますか?」
「はい!!」
二人は、木のねもとにすわって木のみを食べはじめます。かたい木のみのはずなのに、ふんわりとした、やさしいあじ。おたがいがはんぶんくらい食べたころ、アリシアが口をひらきました。
「ティナさん、お友だちに、なっていただけませんか?」
「!!」
おどろいて目をぱちぱちさせるティナ。うれしくてなみだまで出てきそうです。
「よ、よろこんで!」
こうして、ティナははじめてのお友だちをつくることができました。今では、まほうのすいしょうだまのありかをしるのはアリシアだけです。
ティナは、まほうのすいしょうだまがなくったって、ねがいはねがいつづければかなえることができるとしり、まいにちたのしいせいかつをおくっていったのでした。めでたしめでたし。
*あとがき*
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この作品は、私がはじめて書いた童話作品で、いろいろダメなところも多く、修正を入れた今でも恥ずかしい内容の拙作となっております(ほんと、恥ずかしい……)。
もう少しこうした方が良いとか、この表現は子供には難しいのではないか、などのアドバイスがありましたら教えてくださるとうれしいです。
お読みいただき、本当にありがとうございました!!
木のみのまほう 蔵樹紗和 @kuraki_sawa
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