概要
長い人生のうちのたった一日。その日は同じようでどこか違う重みがあった。
揺れ動く車の中で巧みにバランスを取る車掌を見て、
自分の進路はこれだと少年は目を輝かせた。
そんな夢は時代の流れと共に消え失せる。
思えばそんな日もあったと遥か昔の自分を男性は思い浮かべた。
※某地方新聞入選作品 掌編小説年間賞最優秀賞受賞作品
自分の進路はこれだと少年は目を輝かせた。
そんな夢は時代の流れと共に消え失せる。
思えばそんな日もあったと遥か昔の自分を男性は思い浮かべた。
※某地方新聞入選作品 掌編小説年間賞最優秀賞受賞作品
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心にジーンと染み入る、仕事最後の日
日本語って、奥深くておもしろいと思います。
『バスを降りる時』
主人公の男性が少年時代にバスから降りた時。彼の心にあったのは、憧れと、将来への夢。
それから五十年が過ぎ、主人公がバスから降りた時。彼の心にあっただろうものは、過去を懐かしむ気持ちと。満足感。
『バスを降りる時』というタイトルが、過去と現在をつなげ、主人公の異なる心情を読者に提示しています。
読後感は非常に温かく、時代の流れで失われるものがあっても、その中で満足いく人生を送ることができたなら幸せでしょうね。
時代の変化は、生活スタイルや仕事も変えます。変わっていくことを恐れるのではなく、失われるものを嘆いて固執するのでもない。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最後の乗車
私は、実は「生涯の仕事」に恵まれませんでした。
なかなか正社員としての仕事で続けられなかった私はコンピュータの学校に通い、プログラマになりました。でも、きちんと給与を払って貰えないので、派遣労働者になりました。単発の仕事ばかりで、「終わりの日」の乗車(電車)は、とても辛かった。
今でも、時々「面接に行く夢」や「新勤務先で戸惑う夢」を見ます。
今の私には、近況ノートに書いたこともありますが、小説を書くことがライフワークです。
「名も無く貧しく美しくなく」生きてきた私の悪あがきかも知れません。
でも、このサイトに出会えて良かったと思います。
ちゃんと読んでくれる人がいるんだ、という自負が私を突き…続きを読む