【短歌】翼たちよ
壱単位
翼たちよ
ざわざわと露天商のかげに舞うたんぽぽたちのその黒い翼よ
機銃掃射に似た声でうたいつつ
蒼なのか黒なのか樹々は塗りつぶされて法師たちの群れのしろい装束
ほしぼしのいろ消えない
高圧線の鉄塔のうらから落日がわたしの罪をこわだかによばわう
永遠と軽々に云うな万分の一の
海に消える雪をみたことありますか車のハザードがわたしを潰す
千万もことばはあるのにどうしてわたしは自分の頬を殴るしかできない
砂とすな海とうみかぜわたしの髪が腰まであることをあのひとは誇った
いまわの
目覚ましが鳴り止まないあの目覚ましが止まない二度と手は届かない
よかったあれは夢だったんだと泣きながら目が覚め壁をたたいて嘲笑う
桃色のちいさな花びらがあなたの髪にとろうと思った手をひきこめる
ほしの
どうと吹く風が遥かに吹き抜けてすべてのいのちがいまここにある
望まず生まれ病で苦しみ終わりを迎えそうやってぜんぶ宇宙を作る
わたしの手こんなに荒れてしまったけれどお願いいつかまた握り返して
見覚えがあるきざはしをどこまでも昇ってあなたの背に追いついた
ざわざわとわたしに振り向くしろい百合とおい未来を指差す翼よ
【短歌】翼たちよ 壱単位 @ichitan
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