今作は短編です。西暦二百年代初頭、二人きりのごろつき隊商、フェイとロン・ロン。
ある日、酒場でいわくありげな女と出会う、という出足から始まります。
さて、優れた物語の特徴をひとつ語らせて頂きます。
それは「生命力」です( ;∀;)
小説とはキャラの設定が重要とは言います。これは間違いではないです。こてこてのスペックてんこ盛りで超個性的であったり、今時の流行りを押えてみたり、多くの筆者様が様々な試行錯誤をされております。
でもですね、僕は個人的には「電車待ちの中年のおっさん」でも、超魅力的に書けると知っています。
小説と言う表現形態で読者様の思考の中に流れるのは、せいぜいが目の前の数十文字。アニメやマンガなどの様に音響や視覚的な要素・驚くべきスピード感など介在される余地はなく、思考のマルチタスク化によるインパクトも存在せず。常時与える情報は極些細なものです。
ですが、僕が小説を好きな理由は、その目の前のたった数十文字に「生命力」を紡ぎだせる事が出来るのは、「言葉」だけが持つ強烈な力を信じているからです。
さて、本作ですが、一読すればその「言葉」に宿る「生命力」をすぐに感じ取って頂けるかと思います。ゆえに人物像が克明と浮かび上がり、物語の広がりと奥行き、そして鮮やかな読後感にその身を預け、何とも言えない素敵な時間を味わえる事、間違いなしです。
お勧め致します。
壱単位様、もう、ほんとにうまいんだから!
皆様、どうぞ宜しくお願い致します( ;∀;)