第5話
通信をいれる。
『よぉ。十分な証拠は揃ったか?』
バイトの依頼元。
「不倫、賄賂、公金横領。今なら恥部を拭かせるバイトテロ画像とキメセク用の葉っぱの育て場所までついてくるぜ」
『ロイヤルストレートフラッシュだな』
「まぁ、送信されるかどうかは俺のフリックひとつだけどな」
『ふぅん。条件を訊こうか、バイト君』
さすがに、呑み込みがはやい。
「ひとり、社員をこの会社から除籍しておいてほしい。その女ひとりだけが、シロだった」
『それはまぁ、こちらとしては適正な業務だが』
「あと高級車を貸せ。高級ホテルの予約と、高いレストランも。ホテルのほうは二泊三日ぐらいで」
『女か』
「女の興味を逸らせるためだよ。ホテルとレストランはひとりの娯楽だな」
このレストランとホテルで、女は、あきらめるだろう。他人を見下すしかできない女。こちらが少し高級ぶっておけば、勝手に失望するだろう。たぶん。
『乗った。くっそ高いホテルとレストランと高級車用意してやる。公金でな』
「今夜だからな」
『今夜?』
「時間がないか?」
『いや。めちゃくちゃ願ったり叶ったりだ。おまえのアルバイトは今をもって終了する』
「承りましたよ依頼主さん」
情報を。フリックで送信。
『情報を確認した。さぁ、除名してやる。おまえが今夜振られる女の名前を教えてもらおうか』
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