第2話

 アルバイトのひとが、ひどい扱いを受けている。見かねて、給湯室でお手伝い。


 でも。


 なぜか、困ったような顔。


「あの。本当に大丈夫なので。気にしないでください」


 あれだけのことをされて、大丈夫なはずがない。


「あんなの、ひどい、です」


「どうしてですか?」


「どうしてって」


 お茶をこぼしたからって、恥部を直接拭わせるなんて。女じゃなくて、獣のすることだった。


「あなたがこぼしたわけじゃないのに」


「ただ拭いて掃除しただけです」


「写真だって撮られて」


「あれ。おかしいですよね。その写真が流出したりしたら、困るのは下半身裸のひとのほうなのに」


 写真の流出。背筋が冷える。


「ただで他人の恥部をゆっくり拭えるんですから、いい仕事ですよ本当に。本心です」


 セクハラ発言。


 だけど、この人は。本当の本当に、無関心なのかもしれない。女の恥部を眺める目ではなかった。まるで、犬のペットシーツを替えるような手つきだった。


「個人的には、あなたみたいなひとのほうが、困るといえば困ります」


 え。わたし?


「私のことを、ばかにしてますよね」


 ばかに?


「そんなことは」


「こうやって、自分よりも格下だと思った人間を助けて、それで相手を見下す」


「何を」

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