「遣唐使の恋」について

「遣唐使の恋」

 https://kakuyomu.jp/works/16818093086444140945

 

 話数───294話

 総文字数───814,708文字

 2024年11月29日公開。

 2025年9月20日完結。


 やっとここまで来れました。

 やっと。やっとです。

 上毛野君かみつけののきみ大川おおかわという美男子を、おんぎゃ、と産まれた赤ちゃんから、描いてきました。


蘭契らんけいニ光ヲやわらグ」では、主人公。「あらたまの恋 ぬばたまの夢」では、キーマン。「恋や明かさむ」でも、彼がいなかったら物語が大きく変わっていただろう、というキーマン。


 完璧な美貌で、道端を歩いているだけで女を恋に落としてしまうという、浮世離れした美しさ。


 性格は穏やか、優しい。

 かつ、大豪族の跡継ぎとして、誇り高く、いったん鉾を手にすれば、相手に怯む事はありません。武勇も優れています。

 教養も武芸も、幼少から英才教育でたたきこまれ、雅楽の舞も名手。身のこなしは、舞の姿勢からくる美しさ。

 とっても金持ち。


 彼はこれだけ持っています。恵まれています。


 でも、不幸です。


 それは、「蘭契ニ光ヲ和グ」をご覧いただいた読者さまには、ご納得いただけるでしょう。

「あらたまの恋」を執筆しながら───。

「恋や明かさむ」を執筆しながら───。

 その間、ずっと、ずっと、彼は不幸なままでした。


 私は、彼を「可哀想だな。」と横目に見ながら、まだ、彼の時間じゃないから、と、他のキャラたちをせっせ、せっせと執筆しました。


 彼は、そんな作者から、少し離れた位置で、悲しそうに、蓮の花のような麗しい笑みを浮かべて、無言で作者のほうを見ていました。早く私をどうにかしてくれ、なんて事は言いません。


 彼は優しい人です。


 ようやく、彼の時間になりました。


 涙にくれ、己の境遇から解放されたいともがく、不幸な女性が、彼に救われる事を待っています。……唐で。








 2025年10月7日追記。


 単行本八冊分の大作となりましたが、書いてまったく後悔していません。完結まで書けて、書きたいものを書ききった、と、清々しいです。

 ヒロインはモラハラDV夫との結婚生活に傷つき、離婚したあとも心の傷口から血が流れ続けています。

 うちひしがれ、女の幸せを見失っています。

 そんなヒロインが真実の愛を見つけ、幸せをつかみとる物語です。

 また、ヒロインを取り囲む人たちにも、それぞれ、人生のドラマがあり、いろんな恋の形があります。

 舞台は唐から始まり、はるか西域に飛び、遣唐使の旅を追い、日本へと移ります。

 歴史ロマンであり、そこに息づくのは人々の生活であり、また、恋があります。

 それを描ききるのは、このボリュームが必要でした。

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