概要
夏が終わらない。冬が目覚めない。ねぇ、次はどこの星に行こうか。
人間の形をした人間ではないもの、人間と呼ぶけどやっぱり人間ではないもの。
そんな〝人間〟が、自らの星を飛び出して、氷になってしまった友人の為、冬を求めて夏ばかりの世界を旅するお話。の、そのたった一場面。
そんな〝人間〟が、自らの星を飛び出して、氷になってしまった友人の為、冬を求めて夏ばかりの世界を旅するお話。の、そのたった一場面。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!この哀しい物語は、美しい。
真名鶴さん、ミトさんがお勧めする作品を読まないワケにはいかない。
そう思い読み始め、すぐに夏の世界に引き込まれた。
ハードSFに毒された僕は、様々なことを考える。例えば十億年後の地球の終わり。ソーラーシステムの終焉。
むろん、そういう話ではないかもしれない。だがそこには、断ち切られるように突然終わるカタストロフとは別の、気づかぬうちに、でもゆっくりと確実にやってくる「お終い」に向かって流れる時間が描かれている。
暗喩かもしれないし具象かもしれない。ただいずれにしろ、読み手が逸らすこともできずに見せられるのは、不可逆的な最期であり、別れである。
この哀しい物語は、その哀しさすらも美しい。 - ★★★ Excellent!!!好きです。ものすごく好きな作品です。
これは本当の掘り出し物です。
情景描写から何から、とにかく丁寧に切り出して研磨された美しい物語です。
ファンタジーであり、SFであり、郷愁であり、人を想う物語です。
喪われゆく「冬」は、それそのまま大切な友人の喪失でもある。
友人の変容と世界の変容は一体化しています。
それはつまり、世界の喪失は友人の喪失と同義だということ。
見守るしかない終焉への道のりを、しかし主人公は悲嘆ではない静かな明るさで歩んでゆきます。
だからでしょうか、ほんのりと淋しくも愛おしさと温かさのほうが勝るのは。
ああ、でも少しは涼しくなってもらったほうがいいのかも知れませんね。
必見です。