血の滲む望月に向かって戦慄が走る

不慮の事故で均衡を失った脚は、彼の夢を砕いた。挫折と絶望の季節は過ぎ、新たな夢を思い描いても、それは形を成して「併走」し、無邪気に笑う。隣りで走る影は何者か、この健脚は幻覚か幻肢か、 素性の知れぬランナーは何処に誘おうとしているのか? 向かう先には鮮血の満月が浮かぶ…
<注:十話までの考察を含みます>