いつかの空へ

　大学生の草薙優真(くさなぎ　ゆうま)へ、母の実家がある村に住む幼馴染みの天川羽衣(あまかわ　うい)から数年振りに手紙が届く。その手紙には彼女が住む村の伝承にある龍神様への生贄として、双子の姉である天川空(あまかわ　そら)が選ばれたという話と、優真に伝えたい事があると記されていた。
　それからしばらくして、彼女たちの住む村が豪雨によって増水した川の氾濫によって被災し、ほぼ全ての住民が亡くなった。母や、たまたま優真達のもとを訪れていた祖父母に替わってちょうど夏休みだった優真が村の様子を見に行く。
　村の様子を見て過去の記憶と幼馴染みの事を考える優真の前に、災害によって荒れ果てた他の建物とは違い記憶にあるままの姿で佇む天川家の邸宅と、彼を迎え入れる成長した姿の幼馴染みの天川羽衣の姿があり、彼女に…続きを読む