このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(184文字)
両作品の画家であるゴッホとアンリ・ルソーはともにフランスで活躍した画家ですが、直接的な接点はありませんですが、遠いニューヨークの地で2人の作品は出会っているそして、夜な夜な絵画たちは互いの世界を知ろうとしている方や感情表現豊かなポスト印象派方や詩的で幻想的な素朴派互いのスタイルは違いますが、もしかすると彼らの意志が作品に宿って、世界を構築しているとしたら額の中の小さな世界を超えて、ちょっと不思議な夜があってもいいかもしれませんね
ニューヨーク近代美術館の夜。そこに飾られている絵画の中の二つの作品――ゴッホの「星月夜」とルソーの「眠るジプシー女」が動き出す。正確には、その絵の中の星々や、眠るジプシーを見守るライオンが。名画に詳しくない人でも、楽しめる良作です。柔らかい文章で書かれる瑞々しい描写が印象的で、作品に漂う幻想的な雰囲気も好みです。
ルソーの名画に描かれたライオン。彼はいつも眠っているジプシー女を見守っていますが、少しだけ寂しさを感じています。そんな彼の心の隙間を埋めるように、隣の『星月夜』から煌びやかな誘いが……。少しの冒険を経て、ライオンが自分の居場所を再確認するラストシーンが秀逸です。強面だけど心優しいライオンと、全て分かっていたジプシー女。二人の通わせる言葉がとても優しく、読後感は幸福感に包まれます。「大切な人のそばにいること」の尊さを教えてくれる、珠玉のショートストーリー。
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