蝉バイト



1:ID:ksg1eofw8s

パチンコでいつもスってるロクでもない先輩から「良いバイトがあるんだが、2人1組じゃないとダメらしい。来てくれて」って誘われた。




2:ID:ksg1eofw8s

俺はその時大学2年で、一つ年上の彼女と付き合ってて、誕生日が近いから良いプレゼントを買う金が欲しかった。先輩はそのことを知ってたから声を掛けたんだろう。わりと忙しい時期だったけど、その先輩はちょっとヤンチャな人で、断ったら嫌な目に遭うだろうなと予想が付いたから大人しく頷いた。


なんでも昆虫食が好きな雇い主が、蝉の幼虫を食べたがっているらしい。量があればあるほど良い、取って欲しいのは外来種だから取りすぎて生態系を壊す事はないって聞いて、幼虫がうじゃうじゃいるのを想像してゲッとなった。けど、日給二万にプラスして、セミの状態や量によっては更に色をつけてくれるらしい。結構いい条件だった。




3:ID:ksg1eofw8s

俺は車に先輩を乗せて指定された山まで走った。ペンションかな、宿泊施設として使ってる感じの館に着いて、奥さんが迎え入れてくれたよ。結構美人でさ、挨拶した感じも優しくて、モテるだろうなってタイプの人。彼女居なかったら危なかったかも。人妻だし。




4:ID:ksg1eofw8s

そんでバイトの内容なんだけど、地面から出て来る蝉は自分たちが集めるから、アルバイト君たちは地面に掘った穴に入って、そこの土壁から出て来る幼虫を採ってくれって言うんだ。


変だな〜と思ったよ。蝉って土を掘って探すもんではないってイメージだからさ。まあでも奥さんが言うには蝉の幼虫が群生しているポイントがあるらしい、そこを狙って掘ることでかなり柔らかい幼虫をゲット出来るんだって。



ペンションから少し歩いた所には、大きな穴が二つ並んで空いてた。穴の横に鉄のパイプが埋めてあって、ロープが結んである。登り降りする時に使うらしい。もしトイレに行きたくなったらロープを使って登って来ていいからねと言われた。


軍手とシャベルとバケツを渡された。蝉はバケツに入れて、いっぱいになったら取っ手をロープで結んで上に引き上げる様にって言われた。成る程、人が登る為のロープ兼回収用って訳かと思ったよ。ハシゴじゃないのちょっと不思議だったからね。




5:ID:ksg1eofw8s

そんでバイト始めたわけなんだけど、これがまぁ結構キモくてキツい。蝉好きな人いたらごめんね、でも土からさ、ウジャウジャ這い出てくるんだ、キツいよ。集合体恐怖症の人はぶっ倒れると思う。湧いて出てくるそいつらをぽと、ぽとってバケツに入れる。30分くらいかな?大体湧いてた奴らを捕まえて、這い出てくるのも落ち着いたんだ。いや〜2杯半は集めたよ、このポイント凄いなと思ったよ。なんか目が赤くてさ、背中に黒い線と赤い斑点が入ってる薄緑色の体しててさ明らかに外来種〜って感じの奴。


一生懸命集めたら今度はなかなか蝉が出てこなくなって暇でさ、掘ってみたんだ。周りの土を。蝉の幼虫いないかなと思ってちょっとずつ。土は結構やわらかくて、すぐ30センチ?くらい掘れたかな。



6:ID:ksg1eofw8s

そしたらさ、あったんだよ。人間の骨が。わかっちゃったんだ、あいつらこんな風に人間を呼んで埋めて、蝉の餌にしてるんだ。だから群生地が判るんだ。必死に埋め直したよ。骨が少し見えてるくらいだったから、直すこと自体は難しくなかった。


もうヤバい!金なんていらない!と思ってさ、ロープ登って飛び出した。先輩にもここヤバいです!帰りましょう!って声掛けたけど、先輩はなんだか目がドロンとしててぶつぶつ言ってて、話にならなかった。穴の中に座り込んで背中向けて両手を曲げてて、多分蝉食ってた。かなり迷ったけど、おれは先輩を置いて逃げ帰った。




7:ID:ksg1eofw8s

先輩はその日以降大学に来ていない。掛け持ちしてたバイトも飛んだらしい。警察に人骨が埋まってるって匿名で通報したけど、ニュースにはならなかったので警察は見つけられなかったんだと思う。それと、俺の部屋の窓に蝉がすごく止まる様になったんだ。毎晩うるさくてしょうがないんだ。



8:ID:22p4oiuass

今5月じゃね?



9:ID:91mum1awaa

蝉いないよ



10:ID:houefb0832

お憑かれさまです


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

インタ〜ネットやめろ billy @billy_suiminpower

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ