春にさよなら

締め口上

　いかがでしたでしょうか、彼と彼女の物語は。ある人にとってはどうでもいいかもしれないが、ある人にとっては実に興味深かったかもしれない。たいていの場合、人生なんてそんなものです。

　おっと、なにやら「解した」というお顔がここから見える。察しがよろしいことで。光栄でございます！

　そう、皆さんの前にいるこの小粋な案内役、キャスケットの似合う愛すべき少年。これこそ観客の皆さんが見てきたこの舞台の主役、いまや貴殿方（あなたがた）も知る彼女の姿ですとも。

　舞台みたいに、そうそううまい超展開（デウス・エクス・マキーナ）も起こらないものです。人生っていうのは。

　でも人生っていうのは、不可能に思えたときも思いがけない方へ行ったりする。舞台みたいに。

　なになに？　その後の彼と彼女はどうなったかって？

　いい質問だ。気になるならば是非ともいらっしゃい！

　数年来の彼と彼女の夢の共演。完全新作、今週末が初公演（プルミエ）さ。

　公共交通ならピッカデリー・ラインがおすすめ。混み合う線だから早めに出てくださいよ。幕が上がったら入れません。これ、ご存知、劇場のエティケット。

　今度の日曜、午後七時。

　コヴェント・ガーデンでお会いしましょう！

　――幕――