あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜の前日譚として描かれているこちらの作品。
上記のタイトルのスピンオフのストーリーですが、未読の方にもおたのしみいただけますし、もちろん本編を読んだことのある方にはもっと深くストーリーに入り込んでいけます。
舞台は奈良時代。上野国大領の次男として生まれた大川少年が主人公です。
作者さまの他作品をいくつか読んだときに、大川という人物も登場していて、このちょっと影のある美青年の過去に触れてみたいと思い、今作品を読みはじめました。
はじめは幼少期からスタートします。
身分ある生まれにありながらも、彼は父親や異母兄との関係に悩みながら成長していきます。
他作品ではミステリアスな存在で謎に包まれていた部分も多かった大川という人の心情がとても繊細に描かれていて、読者は時としてもどかしく感じることもありますが、むしろそこが良いのです。
そう、人生とはままならないもの。ドキドキハラハラしながら見守っていく大川少年の成長、そして彼を取り巻く人々。読み終わる頃にはすっかり作品の虜になっていますし、他作品ももっと読みたいと思うはずです。
この作品は大川さまの知られざる幼少期の複雑な人間関係や心の葛藤を織り交ぜながら、初めての恋が描かれた美しくも切ない、そして驚きのストーリーを展開しています。
二部構成になっており、第一章では父上と兄上との確執に悩む大川さまの姿を織り交ぜながら情感豊かに描かれており、読み手の心を揺さぶります。
又、主従関係にある大川さまと三虎さんの幼少期に育まれた強い絆は見ていて微笑ましいです。
第二章は、誰をも寄せ付けなかった美貌と武力の持ち主の大川さまの初めての女性との出逢いがシビアに描かれています。
その意外な展開に大川さまファンであれば涙なしでは読み進めないかも……。
そしてその恋の相手の女性のお話も!
緻密に組み立てられたストーリーに読み進めるほどに惹きこまれ、独自の美しい表現や描写が物語の情景を鮮やかに描き出しています。
最後は心温まる展開に!
秋の夜長にじっくりと読んで頂きたい物語です。
『あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜』のスピンオフ作品。
絶世の美男子、大川さまの、ミステリアスな性格の部分がどうやって形作られていったかが、ひもとかれていきます。
地位や身分、権力者である父親の特殊な育て方もあって、憎しみに近い形で競い合う異母兄弟。
兄弟のお付きの者たちも、自然、その争いに巻き込まれ、いいことも悪いことでも、繰り広げられる人間ドラマ。
幼いながらも懸命に考え、自分の立ち位置を確立しようと努力する主人公の姿が、いじらしくて健気です。
思わず声援を送りたくなりますよ。
そして、成長していくにつれ表面化してくるのが、女性問題。
純情な大川さまは、手練手管の女とのかかわりで、どうなっていくのでしょうか。
ドキドキして顔を赤くし、頭から湯気を出しながら読めますよ、いや、読んでください。
この先どうなるの? ああ、これはなんとかしてあげてーっ!
と声をあげ、画面にかぶりつきで、夢中になって読める逸品です。
ぜひ、おすすめします。
正直なところを申し上げますが、私は一度、本作のレビューをかなりの長文で書き上げた上で消し、今改めて書き直しています。
本作の魅力をアピールしようと書いていたのに、いつの間にか私自身の思いを叩きつけるようになってしまっていたからです。
あと、だらだら長くて自分でも読んでられないと思ったから、でしょうか。
なので、箇条書きで書きます。
・作者様の構成力、筆力はずば抜けてすごい。
・おかげで私の心は、嵐の中の小舟のようだった。
・本作も本編「あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜」のスピンオフ……前日譚とでも言うべきものだが、他のスピンオフ作品と同じように、いやそれ以上にもう一度本編を読みたくなる。
・こんな風に本編を二周も三周も読める深さを持った作品はなかなかない。
何だかおかしなレビューになってしまって申し訳ありません。
これは、本作を読了した直後だからでしょう。
これほど心を揺さぶられる物語、ぜひ他の方にも読んでいただきたいと思います。
前半が大川さまの幼少時のすがすがしくも哀愁漂うエピソード、そして後半が青春時代の衝撃的なお話となっています。
青年大川さまはなぜ言い寄る女性をことごとく寄せ付けなかったのか、そのきっかけとなった出来事には心が痛みます。その出来事は別の視点からも語られるのですが、これがまた力強過ぎて、大川さまへの憐憫の気持ちがみるみるうちに薄れ、比多米売への驚嘆、賞賛、感服の念がむくむくと湧きあがってきます。
広河さまと大川さま兄弟の物語を主軸に据えながら、終盤は、最下層の身分に落ちた比多米売が自分の力でのし上がってこの世を生き延び、女性としての幸せをつかむ様子がドラマを見るように繰り広げられていきます。
狙った男に食らいついて離さない悪女比多米売の魅力がたまりません。
本作は、「あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜」に登場するキャラクター達の前日譚です。
物語の舞台は奈良時代。
あるところに、貴い身分に生まれついた腹違いの兄弟がいました。
愛のない父、兄弟の確執、そしてとある女性との出会い。
複雑な環境下で暮らしつつ、彼らは愛と憎しみの渦に巻き込まれていきます……。
シリーズ通して本作の魅力は様々ありますが、何と言っても、読みやすい文体にもかかわらず本格的な古代の空気を味わえるという点と、深く深く描きこまれた人の心の機微を味わえる点だと思います。
読み始めると、皆に感情移入してしまい、ページを捲る手が止まらなくなるのです!
本作だけをお読みいただいても、その魅力は充分に堪能できるはず。
シリーズの他作品をご存じの方もそうでない方も、ぜひ本作をお読みいただきたいです!
幸せとは何か…本作品は、様々な人物の視点を通して、その生き様や在り方にて色々な幸せの形を教えてくれます。
奈良時代…決して戦国時代のような猛々しい武将たちが争うような時代ではありません。だからこそ、この作品はとても面白いものになったと感じます。苦難、逆境、運命の悪戯…そして、家族、絆、愛と友情の物語が、そこにありました。
秘めたる想い、恋の駆け引き、立場と世間体、はたまた迷信ごとに惑わされる人々など、時代を感じさせる内容が多くあり、世界観が見事に構築されています。それは同時に、普遍的なことを我々に伝えてくれるものでもありました。想いの強さと愛の形は、いつでも変わらないものだ、と。
とても深いところに響いてくる作品で、何ともこの感動を形容し難いのではありますが、必ず何かを感じ取れると思いますので、読んでみることをお勧めします。
タイトルに書いた通り、『あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜』の過去編になりますが、こちらから読んでも問題ありません。
過去編から手に取って、しっかり楽しめてる私が言うんだから間違いありません! 大丈夫です!
さて、本編の内容ですが、主人公、加巴理さまは上野国大領の次男という貴い生まれです。
しかし、母は二人目の妻、そして身分もあまり高くないことから、兄や正妻から執拗な嫌がらせを受けます。
おまけに父は厳格で、あまり干渉してくるというタイプではありません。
ここまで書くと正直、辛い環境ですが、そこを従者である三虎が物語を明るく照らしてくれます。
この子は加巴理さまの為なら、上にだって立ち向かうし、命だって投げ出す所存。いい子です! 私のお気に入りキャラでもあります!
母も優しい方で、普段は大豪族の息子として相応しくあろうとする加巴理さまも、この方の前では終始甘えん坊モード。もう母性が出まくり! 第三話、必見です!
まあ、長いこと書いてきましたが、何が言いたいかというと、とにかく読んでいただきたい!
『歴史モノは難しそう』と思うかもしれませんが、一つ一つ作中で丁寧に説明してくださっているので、私みたいな初心者でもしっかりついていけます。
さあ、そこのあなたも手に取って下さい!
何から読めばいいか分からないという方は、『初めての方へ読み方ガイド』がありますので、そちらからどうぞ。
主人公の少年は絶世の美男子で、高貴な生まれ。
とはいえ彼は次男で、しかも母は庶民の出。
ゆえに長男に絶対服従を誓うよう躾けられる。
厳しい父上は自分や母上を愛しているのか?
認められない悲しみが、少年の心に影を落とす――
同じ著者の過去作、
『あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜』に登場する、
上毛野君である大川様の子供時代を描いた本作。
過去編なので、『あらたまの恋 ぬばたまの夢』を未読でもまったく問題ありません!
『あらたまの恋 ぬばたまの夢』では語られることのなかった完璧な貴公子の内面に迫ります。
あ、前作のヒーロー三虎ももちろん登場しますよ!
まだ始まったばかりですが、今作でも読む者の心に強く訴えかける心情描写は健在。
奈良時代のおおらかな風俗の中、人々の営みがありありと描き出されます。
現在は母の想いや従者の決意が中心となっていますが、
キャッチコピーを見ると恋も出てくるらしい!
さあ、連載が進みすぎないうちに読み始めて、一緒にリアタイしましょう!