片思い歴10年 幼馴染の恋

報われた片思い

晴人のモデルの仕事に行ったら日、春乃は蓮の相談をした。

「ごめんね、彼氏とケンカさせちゃって」「ううん。それに彼氏じゃないし」

「そうなの？」

「うん」

「俺と春ちゃん、全然そんなんじゃないのにね」

「うん」

春乃が、蓮と喧嘩をしたと聞いた、晴人は、自分のせいだからと、蓮に謝りに行った。

そんなことをすれば、火に油を注ぐだけなのに、晴人は芸術家だけあって、少し感覚がずれている。

晴人は、春乃から、家の住所だけは聞きてたから、家の前で、待ってた。

蓮は家の前に晴人がいるのに気がついた。

蓮は何も言わずに、晴人の前で止まった。

「あの、蓮君…？」

「はい」

「あの、春ちゃんのことなんだけど…」

（春ちゃん？）

「俺と春ちゃんは、何でもないから」

「…」

「ただの、画家と、モデルだから…」

「画家とモデルって、カップルになること多いですよね」

「違う違う」

晴人は慌てて言う。

「先生は、否定しても、春乃は先生が好きなんじゃないですか？」

「え？！そうなの？」

「…」

「いや、でも、蓮君と喋れなくなって落ち込んでたから」

「友達じゃ、いられなくなるからでしょ」

「友達じゃ、いられないの？」

「…いられない」

「だから、先生。あいつのこと、よろしくお願いします」

そう言うと、晴人の脇を通って家に入っていった。

「春乃と蓮、どうしちゃったの？」

親友の佐和は春乃に聞いた。

「私が晴人さんが好きだと勘違いして。何故かそれで急に怒って…」

「…春乃ってさ。恋愛レベル1だからって、それに慣れちゃだめだよ」

「？」

「蓮が、どう思うかって、理解しようとしなきゃ…」

「でも、しゃべってくれない…」

「蓮は、とっくに春乃の事、好きだよ？」「え？」

「晴人さんとのこと、誤解なら、ちゃんと言わないと」

春乃は、蓮の家に行ってみることにした。（勉強中かな…）

ピンポン

チャイムを鳴らした。

「はい」

蓮が出た。

「春乃だけど」

「…何？」

インターフォン越しに、聞いてきた。

「…晴人さんの事、誤解だから…」

「…その晴人さんて呼び方やめて…」

蓮はボソッと言った。

「え？」

「何でもない。その晴人さんは、この前家に来たよ」

「なんで？」

「春乃の事、よろしくお願いしますって言っておいたから」

「何で…」

「…勉強中だから、切るね」

ピンポン

また春乃が鳴らした。

蓮は、通話ボタンを押したけど、言葉は発しなかった。

「会いたい」

「会えない…」

蓮がインターフォン越しにいるのがわかった。

「好きだよ」

「…勘違いだよ…」

「10年も勘違いしない」

「…」

「蓮…、会いたい…」

そういうと、涙が出てきた。

蓮がコレまでに見た春乃の涙は、今回で、たった3回。

春乃の気持ちが嘘じゃない事がわかった。

ガチャ、バタバタバタッ。

インターフォン越しに、蓮の慌てた音がした。

ガチャ。

蓮は玄関を開けた。

「…」

蓮は、春乃をそっと抱きしめた。

「蓮…」

春乃は泣きながら、蓮の服を掴む。

「春乃…」

「…」

「春乃…」

「…なに…？」

「…好きだ…」

そう言うと、春乃の頭を包み込むように、抱きしめた。

「私も」

「…」

「好き…」

「春乃…嫌だったら言って…」

蓮は、体を少し離して、春乃の頬を手でそっとなでた。

春乃は、恥ずかしくて、ちょっとだけ目線を下げた。

「春乃…」

蓮は名前を呟いたあと、優しくキスをした。

「…蓮…」

「…ん…？」

「恥ずかしくて爆発しそう…」

蓮は、サッと春乃の顔をみた。

春乃は下を向いて、顔を真っ赤にしていた。

でも、春乃の手は、しっかりと蓮の服を、掴んでいる。

「…」

蓮が無言なので、春乃は不安になって、蓮の顔を見た。

春乃が顔を覗くから、蓮はちょっとびっくりした。

そして、蓮も顔が赤くなっていった。

ゆっくり体が離れていく。

お互い手だけは離さなかった。

「…」

「相変わらず冷たいね…」

「うん…」

「蓮は温かい…」

「うん…。冷えた事ないから…」

初めて二人は笑った。

「完全に…」

「？」

「ヤキモチだった…」

蓮は白状した。

「ごめん」

「悲しかった…」

「うん、ごめん…」

「もう、一生喋れないかと思ってた…」

「ごめん…」

もう、日が落ちかけていた。

「家まで送る…」

そう言うと、蓮は、春乃の手を軽く引っ張って歩き出した。

二人は無言だったけど、気持ちは温かかった。

春乃の家に着いた。

「じゃ、また明日…」

「うん…」

「…明日は…一緒に帰りたい…」

蓮は照れて言った。

「うん」

「じゃ、帰りいつもの場所で…」

「うん」

前みたいに、ゆっくり余韻を残して、指を離す。

２人とも照れながら笑った。