気まずい2人

「幼稚園からって…」

「…」

「どこが良くて?」

「…」

「春乃の方が全然モテるし、人気あるし」「…」

蓮は黙る春乃の顔をずっと見る。

「俺…、酷い事言った…」

春のは首をふる。

「春乃はさ…」

「?」

「俺ね…」

「?」

「春乃は、美人だし。頭いいし、友達多し、すごいモテて。」

春乃は小さく首をふる。

「でもさ、小さい頃から、俺とずっと友達でいてくれて」

「…」

「すごい、嬉しくて…。でも、なんていうんだろ…。春乃モテるから、自分が春乃の彼氏になりたいとか、なりたくないとか…、最初から、自分を除外してたから…考えたことなくて…」


2人とも黙って、座っていた。


ガチャ。

玄関の開く音がした。

「バカップルが帰ってきた」

蓮のその言葉に春乃は思わず笑ってしまった。

顔はうつむいままだけど、笑ってる春乃を見て蓮は安心した。

「帰らなきゃね」

蓮は春乃に言った

「…うん」


2人が部屋を出ると、丁度、義理兄の湊と姉のえりがいた。

「春乃ちゃん来てたんだね」

えりはにっこり笑った。

「あ、はい」

ちょっと慌てて言う。

「二人共相変わらず仲いいね〜」

湊は、蓮と春乃を見かけると、必ず茶化す。

「…そうだね」

いつもの返事をしたが、少し挙動不審だ。湊とえりは二人に何かとあった事に気がついた。

蓮も、2人に気づかれてることがわかった。

(春乃は多分気づいてないよな…)

3人ともがそう思って春乃を見た。

3人が見てくるので、春乃はびっくりした。

「?」

良くわからないから、とりあえず笑った。

(やっぱり)

3人は笑った。


「…じゃあ、お邪魔しました…」

玄関で春乃は元気なく言う。

「うん。春乃、さっきの…ちょっと時間ちょうだい。」

「あー、いいのいいの。もう大丈夫だから」

「え?」

「別に何も考えなくて大丈夫。」

「え?」

「じゃね」

春乃は蓮の方を一切見ずに行ってしまった。


(こりゃ、気付かないはずだ…。)

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