G-第02話:私の先輩、私だけの先輩
「どうして…、どうして私じゃダメなんですか?」
今にも沈みそうな太陽が照らす校舎の裏、
少年は、
「ごめん! 本当にすまない。オレには好きな人がいるんだ。それは
その刹那、二人を吹き抜ける一陣の風。
「先輩! それはわかっているんです。先輩に好きな人がいることぐらい……」
「でも、そうじゃなくって、そうではなくって……。私、私は、どうすれば先輩が私を好きになってくれるかだけを聞いているんです。お願いします、教えてください」
涙声になりながら、必死に話を続ける
「私は、先輩のためだったら、なんでもできる。先輩が望むのなら、どんなことだってできる。それじゃだめなんですか? 先輩」
「ごめん…」
少年は思わず
「先輩、謝らないでください。私は先輩に謝って欲しい訳じゃない。ただ、先輩に私のことを好きになって欲しいだけなんです。それも今すぐ好きになって欲しいと言っているわけでもないんです。私とその好きな人を比べてもらっても構いません。天秤にかけてもらっても構いません。先輩が私を徐々に好きになってくれればいいだけなんです。そのためだったら私はなんだってするし、なんだってできます」
「だから、だから、先輩。そんな悲しい事をいわないで……」
どんなに苦しくても、どんなに悲しくても、歯をくいしばり、僅かな希望の光を信じ、心が決して後ろを向かないように自身を奮い立たせる少女の姿がそこにはあった。しかし、その姿は、悲しいくらい
「ごめん、やっぱりオレは君の気持ちに答えることはできないよ。君のその気持ちと同じくらい、オレは
「えっ!
「
「先輩、私は先輩に謝ってほしいんじゃないんです。何度も同じことを言わせないでください。だいたい、もう恋人がいる
「だ、だから、
「そんなことを言われても……」
陽は地平線に沈み、辺りはすっかり宵となる。そして二人の間の空気は、ただ沈黙で満たされていった。
「
そう告げた少年の姿は、少しずつ小さくなっていく。
これから大人になる君へ まぁじんこぉる @margincall
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