温もりを奏でる音楽×現代ファンタジー

この世界で暮らす人々には、生まれながらにして「卵」の形をした「相棒」がいる。ただし、中には持たない人間もいて――そんな人々を、新たな「相棒」と廻り合わせて、対価として指定した「音楽」を回収することが、主人公・音廻卓渡(おとめぐり たくと)のお仕事です。

「音楽」の回収に向かった先で、卓渡はさまざまな葛藤や思いを抱えた人たちと出会います。彼らが奏でる音楽は、日々を生き抜いてきた力強さに満ち溢れたものもあれば、自分の存在意義を定めていく途中のものもあり、他者との交流に悩みを抱えた中で生まれた音色もあれば、他者と関わり合ったからこそ生まれた音色もある……優しく温かく展開されていくドラマに、穏やかな気分で聴き入りました。

音を廻る青年が、音を繋ぐように出会いを重ねていった先に、どんなラストが待っているのか……作者様が慈しみを持って描かれたと分かる文章に、耳を澄ませてはいかがでしょうか。

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