幼き日の感動を胸に

がむしゃらに駆け抜ける少女の物語であり、憑依という性質を上手に生かした名作でした!!

入学からという落ち着いた導入に見えるのですが、近未来の世界観が随所に散りばめられており、読み進めていく過程で目の前の世界が少しずつ広げていくという感覚を覚えます!

この世界が広がる感覚は作者様の表現力の豊富さが一役買っていると思います。単位に頼らず世界観に沿った例を用いて説明されるため、読み手側がノイズとして受け取ることもなく、すんなり読み進めることができる素敵な描写でした!
すでに1章を読み終えてしまったため、ネタバレ回避のためにふんわりとした表現になりますが、

また、主人公の設定というのも「万能」ではなく、とてもピーキーな設定でありそれがアクセントとなりさらにこの物語の魅力を惹き上げています!
レースという題材はあまり読まないため、適切な表現がここでは言えませんが「オールラウンダー」ではなく、「ダウンヒラー」や「クライマー」のような一芸に特化しているからこその魅力がこの作品には詰まっていました!

さらにいえば、この作品の本質にも関わるレースまでは読んで頂きたいです!
上記の通りレースを題材とする小説をあまり読んだことがなかったのですが、実況と解説の使い方が素晴らしい、と。
ついつい地の文で表現したくなるものですが、実況と解説の口文主体で進むことで読みやすさが段違いです!
よくよく考えれば実況とはそういうものなのですが、映像とセットとという印象があったので・・・

そんな手に汗握る少女たちが駆け抜ける物語、あなたも観客の一人になってみることをお勧めします!

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