複雑に絡み合い、国に阻まれる想いが美しいです

 深い悲しみを背負った逃亡者ティリオンと、敗戦国スパルタのお姫様アフロディアが、追手から逃げる場面から始まります。
 戦争で親しい人達も、帰る場所すらも失い、失意の底に沈むアフロディアを、ティリオンは剣を片手に、まさに命懸けで守ろうとします。

 ティリオンがなぜ逃亡者になったのか、彼とアフロディアとの関係などは、ギリシャ物語とギリシャ物語外伝をお読みいただければと思います。

 さらには、ティリオンを探すアテナイ軍総司令官の事情も、スパルタのクレオンブロトス王と深い関係があるコリントス軍副司令官の事情も、ギリシャ物語とギリシャ物語外伝で語られています。それぞれの背景を知っていると、今作はより楽しめると思います。

 誰かを強く想い、その人の為に行動を起こすけれど、その人もまた別の誰かを想い、自分を大切にしてくれる人の気持ちに応えられない。さらには、国という大きな壁に阻まれ、登場人物達の関係は複雑に絡み合っていきます。
 どうなってしまうんだ……と、ドキドキしながら読んでいます(第十五章読書中)

ぜひ、読んでみてください!

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