真冬の東京の乾燥度合いで、温度は体温よりやや高め。

筆者は現役の建築士で、登山がご趣味とのこと。それに加えて日常のあらゆる方向にアンテナを張り巡らし、あれやこれやを考察します。話題の広さについて行くのが大変なこともありますが、未知の世界の目録を見せていただいているようで、それもまた楽しいです。

小説やエッセイには温度と湿度があって、自分の気分によっては、湿っぽくって生ぬるいものを読みたくなったり、手に粉がつくくらいカラカラに乾燥してひんやりしたものを読みたくなったりしますが、この作品は、「真冬の東京の乾燥度合いで、温度は体温よりやや高め」くらいです(……わかりづらい?)。文体は一貫して淡々としていますが、ときに熱っぽく語られるテーマが混じりますからね。

どこから読んでも楽しめます。面白そうなところをつまみ食いしてみてください。