頭の中を嵐がすり抜けていった。「なんじゃあこりゃぁ」。一言目にはそれ。二言目には「やられた」。そして次の言葉が出てこない。これはすごい。
自分が純文学向きなのかエンタメ向きなのかわからなくて右往左往している商業作家一年生。SF書いてみたいと思い始めて幾星霜。
ここよりはまともな場所へ。なのに、深い支配からは逃れられない。でも、その過程に存在したものは、確かに手の内にあった。大切に包み込んでいる時があった。そんな人間が何かを掴めるよう。願いは続いていく。
まず、本作の冒頭を少し読むだけで異国情緒と濃密なリアリティを感じるだろう。入念な下調べの元、綴られたであろうセリフや細かな日常描写は、当時のヤンゴンをありありと描写し、そこに息づく人々を鮮明に描いて…続きを読む
本作の魅力はひと言で言うならその濃度、密度の高さだと断言できます。作中の時間経過は信じられないほど濃密で、すれ違う雑踏は息が詰まるほど。目まぐるしく、ままならないまま零れ落ちる人生をわずか二万字で…続きを読む
その瞬間があった、奇跡のような時間があった、間違いなく手に入れていた。圧倒されつつもあまりにも儚い「にせもの」たちの本物の日々、鳥肌が立ちました。愛しいです。
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