「遺したい」は本能なのか?

最初は、「SF的事象に対する、取り留めのない群像劇」かと思いながら拝読していましたが、登場人物の行動原理が示され始めた後半からの「アクセル全開・トップギア」感が凄まじく、とても楽しく読み進めさせて頂きました。「遺したい」という気持ちが、物語冒頭の老人(≒「老人の海」の主人公≒作者たるヘミングウェイ)に立ち返る構成の巧さにも脱帽致しました。

一般的に「繋がりの話」と言うと、ラブロマンスやサイバーパンクが真っ先に連想されますが、本作もまさに「どこまでも繋がっている」お話とお見受けします。

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海の記憶