正直に書くと、前半までは「作者の描写力は高いが、よくあるポストアポカリプス系」と思いながら読み進めていました。「カラスという名前の傭兵」や「世界樹」というワードから、「『ウケる』要素だけをつまみ食いしただけの作品」と誤解していました。しかし、後半で主人公の過去が明かされる展開で、良い意味で完全に裏切られました。
詳しく書くとネタバレになるので控えますが、「一つのストーリーに無限と錯覚するほどの物語を内包させる手法」は、ひとりの読者として完全に本作の虜になるほどのインパクトでした。後半から終盤にかけての疾走感も心地良く、大変満足感の高いお話でした。
また、主人公カラスとヒロインであるオーの関係性も本作の魅力と存じます。出会った当初はツンツンにも感じられるふたりが、紆余曲折を経て信頼し合うバディーに成長する過程にも、高いシナリオ力・構成力をお見受けしました。
読み始めてまだ3話目なのだがレビューを書きたいと言う衝動に囚われた。それほどまでに魅力的な作品だ。
荒廃した世界、砂だらけの世界、人類文明はとうの昔にまともな形態を亡くし、〝掃除屋〟と呼ばれる機械の脅威に怯えながら隠れ暮らしている
そしてその掃除屋の脅威をなんとか追い払っているのは傭兵達だ
だがその傭兵達も十分な戦力を持つとは言えない
何しろ科学文明が元々の姿を維持できなくなっているのだ。まともな武器すらありえない世界だ
誰がそんな世界の中で仕留めた〝掃除屋〟から使える部品を取り出し自らの技術力で新たな武器を生み出せる男〝カラス〟またの名を武器〔アルマ〕と呼ばれる男
物語は三人称ながらそのカラスの視点で描かれる
その彼の視点から描き出される世界観のイメージが実に見事だ
これはファンタジーではないSFでもない
純文学と思って読んで欲しい
それほどまでに私が美しいと思った