雨のプラント──

世界観や作中の雰囲気、キャラクターの(性格)造形などには惹かれるものがありました。キャラクターの掛け合いが軽快で、そういった意味でも楽しく拝読致しました。

一方で、僭越ながら、SF的な描写がもう少し多ければモアベターと存じます。「スカイドームの降雨量調整」とはどういった仕組みなのか、街を覆う屋根なのか、気象操作装置の類なのか、雨水を一時的に貯蔵し二次的な人工雨を降らせるタンクなのか。物語前半で主人公は具体的にどこにいて何を修理しているのか、それはどういった見た目なのか。そういった部分を描写すると、物語により深みが増すと、個人的には感じました。

街は廃れていく、だが雨上がりの虹は美しい。
荒廃の足音を聞きながらも、希望を見出し健気に仕事に従事する主人公たちがとても良かったです。

しっとりとした作風は、雨の日に読むのにぴったりでした。

朗読をさせていただきました！
破壊された環境の中で生きていく人々の日常の一ページ。
降りしきる雨が人々にもたらすものは決して幸福ではないにしろ、スカイドームの人々はきっとそこに適応し、その中で生活し、日常を手に入れている…。未来こそ決して明るくはないものの、降る雨も、そして雨上がりの虹も、どこか美しく儚い人々の営みのようでとても感慨深い作品でした。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（333文字）

本当にシットリとした気持ちになれました。
これを書かれた日も雨だったのでしょうか？
ジンワリと雨に癒される、今、そんな気分です。